〇◆「虚」-Orange ページ22
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本番3日前のリハーサルは、
前日にやるゲネプロとは違っていくつかのブロックに分けて
セットの動きとかも調整しながら時間かけて進んでくから、
全員、今日は朝からホールに詰めっぱなしで。
誠「ほんなら次、二手に分かれるシーンからやんで。
裏方も準備して」
―はい！―
香坂先輩と誠也くんの段取りで順調にリハは進んでるけど、
俺はまだ1回もユキさんの姿を見てなくて。
こじけんが朝見たって言うてたし、
今日は全員揃っての練習やからおらへんことはないんやろうけど。
健「たいせー、お前下手からやろ」
「あ、逆やん。ついてきちゃった(笑)」
健「俺のこと大好きか♪」
「いやぁん♪」
阿「たいせー！はよ来ぉい！」
阿南に呼ばれて
上手側から下手側に行こうとしたら、
「もしもし？」って電話を取りながら外に出ようとするまっさん。
良「……は、
ホールの厚い扉に手をかけたまっさんが止まる。
顔が固まってる。
なんかあったんかな。
阿「たいせー、早く！」
「おん、今行く！」
良「……結城が？」
え。
その名前だけ、はっきり聞き取れてしまって。
下手に行こうとした足が止まる。
まっさんは何度か頷いた後、「かけなおす」ってだけ言って
すぐ誠也くんのところに行って。
良「すんません、誠也くん。いいですか？」
誠「ん、どした正門？」
良「結城が……、部室で倒れたって」
誠「は、」
「え、……ユキさんが、」
ユキさんが、倒れた？
信じられへん文字列が、頭に浮かぶ。
菊「え、ユキがどうかしたん？まっさん」
良「あぁ、戸浪が部室に小道具取り行ったら
結城が、倒れてたらしくて」
菊「ユキ！！」
誠「落ち着け菊好、ちょっと待って」
「ユキさん倒れたんすか、まっさん」
俺らの声が聞こえたんか、ホールの中がざわざわし始める。
心臓が、ドキドキする。
誠「全員落ち着け、5分後にはリハ再開するから
そのまま待機。えぇな？」
誠也くんの声でみんな、顔見合わせながらも
持ち場に戻ってく。
菊「誠也先輩、ユキが、」
誠「分かってる。
正門、お前医務室行って先生に報告、あと担架借りて来い。
菊好はまっすぐ部室に行って戸浪と入れ替わり。
そのまま付き添ってえぇから」
菊「はい！」
キク子さんが血相変えてホールから出てった。
「誠也くん、俺も」
誠「お前はあかん、リハ中やで」
「でも！」
誠「大晴」
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作者名：マリア | 作成日時：2023年10月12日 22時
