キミ、カオル。I【すとぷり】

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夜が深けていく中たくさんのことを話した。


過去のこと。


家族のこと。


義父のこと。


今日のこと。


みんなは黙って私の話に耳を傾けてくれた。


途中、途切れ途切れになる私の声を聞いてくれた。


「……それで、行き場のない私をなーくんがここに連れてきてくれて、今に至ります」


話し終わった後はびっくりするぐらい心が軽かった。


「ありがとう。聞いてくれて」


口からこぼれる感謝。


みんな苦しそうな顔をしていた。


私の痛みを感じ取ろうとしてくれているように。


るぅとくんがふっと私の前に立って腕をとった。


「るぅとくん……？」


私のジャケットの袖をグッとまくり上げる。


私の手首には義父に掴まれた跡が痛いぐらいに赤く刻まれていた。


るぅとの唇がそっと手首の跡に触れる。


「ごめんね。分かってあげられなくて」


るぅとくんの言葉が深く心に刺さる。


人の痛みは本人でないと分からない。


「A。……泣いても良いんだよ」


ドクンッと音を打つ心臓。


「……泣かない。だって、みんなが聞いてくれたから」


ボロボロと目から溢れてくるのは声が届いた嬉し涙。


だから、許して。


私の精一杯の強がりを。


「もう、大丈夫」


そして、受け止めて。


精一杯の笑顔を。


なーくんの手が私の頬を包んで涙を拭いてくれる。


「なぁ、A。俺らまだ、1つ気になることあんねんけど聞いてもええ？」


「めちゃくちゃ気になることあるんだわ」


私が小さく首を傾げると2人は目を合わせて頷く。


そしてジェルくんがおもむろに口を開いた。


「A、なーくんにどんなセリフで口説かれたん？」

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