なにかと推しに避けられるんだが

一 ページ3

「いやあ、どうしたらいいものか」


この言葉には、死んでいる家族の死体、これからどうすれば良いのか。
その二つの意味を、持ち合わせていた。

思い出したけど、これ以上何も出来ないよ...お金もある場所分からないし。神様酷くね？いや、ありがたいけど。

そう、家族が死んで、私の道を示してくれる人は、もうこの世に居ない。
誰も私の隣にいなくなったのだ。

ここから先、誰に助けを求めれば良いのか？


「(...私、合理的な事しか考えてない。なんでだろう、怒りも悲しみも感じない..))」


もしかしたら感情が無くなったのではないか、と笑う状況では無いが、笑ってみる。
だが、普通に笑えた。

じゃあ、どうして泣いていないのか。

＿＿どうしてだろう。

そりゃさ、虐待とかされてたらら今の私みたいに泣かないで「ざまぁ」って笑えるのかもしれない。
けど、私はごく一般的な家庭で、親から沢山の愛情を注がれ、私もそれに応えた。
...怒られてグーパンチを食らったこともあったっけな。痛かったよあれ。

だからこそ、こういうことしか考えられていない私が怖い。それに、憎い。

ああ、明日は母上と一緒にお買い物に行く予定だったのになぁ。
グーパンチを食らったとしても、大好きだったのに。その時は弟が心配してくれたっけ？

じわり、と目尻が燃えるように熱を持った。

いつの間にか、ぽたり、ぽたりと雫が落ちていく。


「っひ、く...っ」


泣いていた。

それはもう、雫が溢れて溢れて止まらなかった。止まることを知らない、とはこのことなのだろう。

ああ、分かった。
私が泣かなかった理由。


＿＿家族を死んだのを認めたくないだけ。


そのまま、泣き続けた。


・・・


「美味そうな餓鬼だなァ」

「ひぇ」

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