なにかと推しに避けられるんだが

二 ページ4

「い”や”あ”ああああああ！！！！

来ないで！？私泣いてるの見たでしょ！？KYなの！？？？」

「待てェェェェ！！！」


全速力で走っても、あのKY鬼との差が開くことはなく、差が縮まるばかりだった。
いや、一般人が鬼に勝ってしまったらそれはそれでヤバいのだが。

リアル鬼ごっこをしている、この時だけは、金髪の泣き叫ぶ少年の気持ちが痛いほど分かった。
残念たがらまだ陽は現れなさそうで、まだこの鬼ごっこを続けないといけないようだ。

そう思うと憂鬱だよ！！！！分かる！？



・・・



何分、何時間この鬼ごっこを続けたのだろう。

眩しい光が、あの山の上からちらりと見えた。今だけは、この光がとても愛おしい。

あともう数分間逃げ切れば、私は＿＿＿

そう思った刹那、私の足は安心感、疲れによって動くことが出来なくなった。
足が動かなくなったため、その場に倒れ込む。

ん？何が言いたいかって？

......転んだ。

この世界では、鬼の前で転ぶ、というのがどれだけヤバい(語彙力消滅)か知っているだろうか。
つまり、こうだ。

転ぶ＝死ぬ

だから、それをしてしまった私はあの世行きになってしまうのだ。

なんで！？ここまで来たんだよ！？

そう言っても私の足がいきなり動くはずもなく、あのKYの鬼は一歩、一歩と、確実に歩み寄ってくる。


「鬼からこの時間まで逃げ切れるとはなぁ。まぁ、いい。喰ってやるからさァ」


瞬きすることも忘れ、目の前の鬼をただただ見つめる。
なんとなく死ぬんだなぁ、ってなったけど不思議と恐怖は感じなかった。夢のように感じていたのかも知れない。

けど、次に恐怖がやってきた。

ぼとり、とあの鬼の生首が落ちてきて、生首の目がギョロリとこちらを睨んだ。
日が昇ってきていたから、すぐに灰になったのだが、あのときの頸が落ちてきたのはトラウマになるレベルだと思う。


「天狗.......？」

「大丈夫か」

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