其ノ漆 ページ7
薬品の匂いがして、目が覚めた。私は、ふかふかのベッドの上で寝かされていた。
あれ…ここはどちら様の家なんだろう?
『……イッ!』
起き上がろうとすると、背中に針を刺すような痛みが走った。すると、タイミング良く誰かが部屋に入ってきた。
「あ、目が覚めました?昨晩、柱の宇髄さんという方が貴方をここへ運んできたんですよ。」
あ、貴方は…胡蝶しのぶさん!ってことは、ここは蝶屋敷か!っつーか、宇髄さんわざわざここまで運んでくれたん…!?ってことは、抱えられてたってこと…!?わあぁ…嬉しさと恥ずかしさで悶え死にそう…!
「もしもーし…大丈夫ですか?」
『ぴっ…!あ、ごごごめんなさいぼーっとしてました。』
胡蝶さんは、1人の世界に入りかけている私を心配したのか、ぐっと顔を近づけて此方を伺っていた。近い、近い!
「私は胡蝶しのぶといいます。ここの蝶屋敷の主です。」
『わ、私は夢宮Aといいます…!昨晩はご迷惑をお掛けしました…!』
「はい。宇髄さんが夜中に突然、女の子を抱えてきた時は驚きましたよ。」
ですよね!ほんっとにすみません…!絶対起こしましたよね!?睡眠を妨げてしまって申し訳ないです…!!
「ところで…Aさん。率直に申し上げますが、宇髄さんから聞いたところによると、帰る家がないんですよね?今までどうやって生活していたのですか?」
胡蝶さんは、心配そうな顔で私をみつめていた。このご時世だもの、身寄りのない可哀想な子だとでも勘違いしているのかもしれない。
『………。』
なんて言うべきなのか悩む…。宇髄さんに咄嗟についてしまった嘘に後悔した。だって、嘘なのに、心配されたら罪悪感がわいてくる。
『誰かの家を転々として泊めさせてもらったりしてました…。』
「あらあら。そうでしたか…。」
嘘をついてるのをバレないかどうかヒヤヒヤしながら、俯いていると胡蝶さんはどう思ったのか、とんでもないことを口にした。
「それなら、蝶屋敷で一緒に暮らしませんか?勿論、働いてもらいますよ。」
『えっ……。』
いや、お人好しすぎない?よくこんな何処の馬の骨かも分からない急にやってきた小娘を住まわそうとするね…。こんなこと考えてしまうなんて私ってひねくれてるな。
でもな…行く宛てないしな…。それに胡蝶さんは信用出来る人だって知ってるから、安心して過ごせそうだし、丁度いいや。
『よろしくお願いします。』
37人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
りん(プロフ) - (゜ロ゜)はーい(* ゚∀゚) (2020年4月9日 19時) (レス) id: f011f41edf (このIDを非表示/違反報告)
コロン(プロフ) - りんさん» あらら…それは微笑ましいですね笑 まあこの後の展開に楽しみにしていてください*_ _)ペコリ (2020年4月9日 2時) (レス) id: 707515b197 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - なるほど……読みながらえーと!!ヽ(゚д゚ヽ)(ノ゚д゚)ノ!!してましたそしたら姉にうるさいて言われ(´;ω;`) (2020年4月9日 1時) (レス) id: f011f41edf (このIDを非表示/違反報告)
コロン(プロフ) - りんさん» そう言っていただけて嬉しいです!ギャグも交わしたいと思っているんですが、どうしても主人公を可哀想な方へ引っ張って書いちゃうんです…笑 (2020年4月9日 1時) (レス) id: 707515b197 (このIDを非表示/違反報告)
りん(プロフ) - 続きが楽しみにしてます( ^▽^)なんか主人公が可哀想に見える……(´;ω;`) (2020年4月9日 1時) (レス) id: f011f41edf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:受験生のりな | 作成日時:2020年4月6日 20時