じゅうきゅう ページ21
.
『な、に、』
あまりの顔の近さに、自分のものとは思えないほど声が掠れる。
思考がうまく働かない。
瀬名は私を塀に押し付けたまま黙りこくっているし、暑いし、顔近いしで変な汗が頬を流れる。
『…離してもらえる??』
「やだ。」
『駄々っ子かよ』
駄々をこねるように甘えた声で言えば、私の肩に顔を埋めてぐりぐりと額を押し付ける瀬名。
ふわふわな髪が首筋を撫でて、くすぐったい。
.
「俺、正直Aに嫌われたと思った」
顔を私の肩に乗せたまま瀬名は呟く。
顔は見えないが声色は少し寂しそうだった。
『……今ここで嫌ってやろうか』
「そんなことできないクセに」
『ああ、元々嫌いだったわ』
「じゃあAは嫌いな人にキスされてあんなに顔赤くなるわけぇ?」
リンゴみたいだったよ、と余計な一言。
コイツはいつも私より一枚上手だ。ああ悔しい。
『そ、そりゃ初めて、だったし…それなりに……緊張、とかは………す、するし………、』
うわああああ噛みｯｯ噛みやんけ!
なんだよ!頑張れよ私の舌と下唇!!働けよ!!
もう何もかもが恥ずかしくなって私がうつむくと、瀬名が顔をあげた。
そしてゆっくり口を開いた。
.
「ねえ。
＿＿もう一回したいって言ったらどうする?」
＿＿＿、ああ神様。
家にはやく帰らせてください。
私の思いとは裏腹に爛々と輝くアイスブルーの瞳がやけに記憶に残っている。
こんな青春、いらないんだけどな。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 236人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品が参加のイベント 
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
re:Ask(プロフ) - 夢花(仮垢)さん» ヒェェ嬉しいです…更新できてなくてスミマセン……なっちゃんですね、了承しました!! (2018年9月7日 12時) (
レス) id: d19be40351 (このIDを非表示/違反報告)
夢花(仮垢) - めっっっっっっっちゃ続ききになる！！！！！！！！！はぁ……ドキドキしすぎて心臓止まるかと思った……w あ、リクエスト？で、あんスタキャラなら誰でもいいんですが、夏目の書いたら是非みます←夏目好き 他にも推しいるので色々みます←語彙力 続き待ってまーす (2018年8月26日 4時) (レス) id: 1ce7d18474 (このIDを非表示/違反報告)
re:Ask(プロフ) - まかろんさん» かさくん了解しました!!つっちー尊いですよね…!!わかります……!!、出身が北海道って知ったとき嬉しすぎて軽く心臓止まるかと思いました(道民) (2018年8月15日 19時) (レス) id: d19be40351 (このIDを非表示/違反報告)
まかろん(プロフ) - かさくんでお願いします！！もう...かさくんは声優も尊い。あ、話がずれましたすみません！笑笑 この作品すっっっごく面白いです！笑い止まらなくて辛い...。これからも頑張ってください！ (2018年8月15日 18時) (レス) id: db368979ad (このIDを非表示/違反報告)
re:Ask(プロフ) - 怜榎さん» ぇええ!!!夏目推しですか!?!?私もです!!!夏目最推しなんです!!!うわ嬉しい生まれてきてくれてありがとうございます!!!(?) (2018年8月14日 21時) (レス) id: d19be40351 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：re:Ask | 作成日時：2018年7月31日 9時
