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「この女誰」
そう吐いたが、灰谷竜胆。
竜胆は黒のソファに深く腰かけ天井に顔を向け、目線だけを女に向けて口を開く。
女は白のソファにちょんと座り、その目の前に座る男の首元の刺青に気を取られていた。
「首領のオキニ。だろ？」
その横には灰谷蘭が詰まらなそうに頬杖を着いて、ソファに寄りかかって愛銃にゆっくりと弾を込める三途春千代へと視線を上に移す。
透明なテーブルには弾紙箱が雑に置かれており、弾が床に落ちていたりと散乱している。
三途はそれを見て面倒臭そうに顔を歪め、女へと目を向けると蔑んだ様な笑顔を向けた。
この男、先程薬を呑んで機嫌が良いのだ。
「ハッ。1ヶ月後にはスクラップだろ！」
「唯の首領の女かよ」
竜胆は興醒めた。
首領に用があると隠家へと入ってきたこの女。もしかしたら。と、首領がこの女に変な感情を抱いて居るのでは、と思ったのだ。あの堕ちた男が恋愛感情をこの女に抱いているのかと疑ったのだ。
「抱いた女一週間後生きてんの見た事ねぇけどなぁ」
「マイキーのタイプじゃねぇだろ。こんな女に勃たねぇよ」
「じゃあ、何で関わってんだよ。首領、この女に」
「竜胆馬鹿かぁ？惚れたからに決まってんだろぉ」
「あ？マジで？」
「な訳ねぇだろ。マイキーが女に惚れるかよ」
「確かに」
女は目の前で物思いに話す三人を困った顔をして眺める。
こうなったのは十五分程前である。女は最近一ヶ月近くほど顔を見ていない、あの白髪の男に会いたかったのだ。あの薄暗く、肌寒い所へ行けば会えるのではないかと思ったのだ。立冬の頃、足を進めればやはり中は肌寒い外よりも幾分か冷たかった。足音を響かせて中を進めば前に出会った首に目立つ刺青の入った男が居たのだ。その男は少し驚いた様な顔をすると、あのソファへと女を案内した。男は女の目の前の黒のソファに腰掛け、無言が続く空間に他二人が入ってきたのだ。
「首領に連絡するわ」
困った女に気がついたのか、竜胆はスマホを手にして佐野へ電話を掛ける。
「･･･あ、女来てますけど。」
コールが鳴り止み、佐野が出たかと思えば竜胆のその言葉だけを聞いて直ぐに通話が切れてしまった。
竜胆はゆっくりとした手つきで耳からスマホを離して机へと雑に投げる。
カンッとスマホがガラスに当たり、高い音が響いた。
「マジじゃねぇか」
一寸が過ぎ、ぼそっと竜胆はそう口にした。
今から首領はこの隠家へと来るであろう。この女に会いに来るのだ。
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湊嘩(プロフ) - 初コメ失礼します。作者様の作品はこれが初めてだったのですが、表現力や語彙、文章力が凄まじくて一気読みしてしまいました。私の語彙力が低くて申し訳ないのですが、本当に面白かったです。長文すみません。本当にありがとうございました！ (2021年9月21日 19時) (
レス) @page30 id: 1ab5df6e8d (このIDを非表示/違反報告)
苺ミルク飴(プロフ) - 完結おめでとうございます！文章力とか語彙力が素晴らしすぎて、何回も読んでしまいます！すごく読み応えがあって、とても面白かったです！素敵な作品をありがとうございました！それとお疲れ様です！他の作品の更新等頑張ってください！応援してます！ (2021年8月24日 12時) (レス) id: 976df8db05 (このIDを非表示/違反報告)
ましゅまろぽっぷ(プロフ) - とっても面白いです！応援しています。更新頑張って下さい (2021年8月4日 12時) (レス) id: 0077bb053c (このIDを非表示/違反報告)
ユキ(プロフ) - いつも楽しく読ませてもらってます！更新お待ちしてます！！ (2021年7月24日 23時) (レス) id: 631cb64e08 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：田中 | 作成日時：2021年7月4日 16時
