三十八周目 ページ39
『…そういえば、渉、進路決まってるの?』
お昼も食べ、他にも色々な乗り物に乗って、休憩とばかりにベンチに腰掛けた私達。
私はふいに気になって、隣に座る渉を見た。
だって、今はもう9月。普通なら、行きたい大学や就職先に向けて準備を始める時期だ。
「…んー……」
眉を下げて、渉はこちらを見ることなく頬を掻いた。
「…まぁ、決まってるっちゃ、決まってるかな」
何事も即決の渉が、こんな風に言葉を濁すのは珍しい。
今通ってる高校に決めた時だって、ほぼ悩むことなくさくっと決断してたのに。
『…じゃあ、大丈夫だったの?今日、遊園地なんか来て』
この前だって、慌ただしく塾に向かってたし、絶対に勉強に追われてるはずだ。
「いいんだって、俺がAと一緒に来たかったんだし」
くしゃり、渉が優しく私の髪を撫でてきた。
「そんなことより、もうそろそろ時間的に次の乗り物でラストだな。俺、乗りたいのあるんだけど、そこでいい?」
『あ、うん』
あからさまに話を逸らされた、って、さすがに私でも気づく。
…触れられたくなかったのかな。
なぜか痛む胸をぐっと押さえて、私は立ち上がった渉の背中を追った。
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直刃 - 完結おめでとうございます、!私はなんといってもたぬきさん推しでして・・・この作品、凄く大好きなんです。なので続編、是非作っていただけると舞い上がります!! (2018年3月23日 0時) (レス) id: 461041a079 (このIDを非表示/違反報告)
moka*(プロフ) - 完結おめでとうございます!私は続編読みたいです! (2018年3月15日 11時) (レス) id: 26fe5d4713 (このIDを非表示/違反報告)
藍(プロフ) - 完結お疲れ様でした!私は是非読んでみたいです! (2018年3月14日 18時) (レス) id: a4c1cc0525 (このIDを非表示/違反報告)
Star~ - 初コメです!付き合ってからのお話も読んでみたいです! (2018年3月14日 14時) (レス) id: 0bb5a78bda (このIDを非表示/違反報告)
黄衣(プロフ) - 藍さん» 藍さんありがとうございます〜!キメるところはキメるたぬきさんですね…! (2018年3月13日 20時) (レス) id: c21a9e51ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:黄衣 | 作成日時:2017年9月4日 18時