メリーゴーランド【うらたぬき】

二十周目 ページ21

なんだか脳がふにゃふにゃして、熱が上がった感じがして、とにかく渉の顔が見れなくて。









私はこの上ない程動揺してるっていうのに、渉はするどころか、私の顔を覗き込んでくる。









「…あー……ごめん、やっぱり嫌だった？」









心配、っていうか、罪悪感、っていうか、そんな顔してる。









…恥ずかしい、だなんて、たぶん欠片も思ってない。









『…な、んで………』









私の顔を見つめるその緑の瞳に、声が漏れた。









『…好きな人、いるのに………なんで私なんかに、そんなことするの、』









前も聞いたような質問。でも、今回は訳が違う。









口移し、なんて。幼馴染の範囲で許される訳ない。









「………A、さ、」









渉が、考えて考えて、ようやく口を開いた。









なんて言えばいいのか迷ってる、みたいな。









「気づかない？」









『え？』









気づかない、って、何に？









「…俺が焦ってるとか、恥ずかしいとか、」









『……？』









いまいち意味を汲み取れない私に、渉が痺れを切らしたのか「あーっ、もう！！」と頭を掻き毟る。









「俺が！！ただの幼馴染に口移しで薬飲ませるようなタラシに見えんのかよ！？！？」

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