メリーゴーランド【うらたぬき】

十五周目 ページ16

『……わた、し、』









私も、やり直したい。









頭の中に出てきたその言葉は、渉の耳に届くことはなかった。









ばたんっ、









「Aっ！？」









渉の声が頭に響く。反響して、ぐらぐらする。









…これ、なに、









『ぁ、わ、わたる……、』









声が、声が出ない。喉がつかえる。









「……！いいっ、無理してしゃべんなっ」









何かを察したのか、渉は私に駆け寄ってきて。









私のおでこに、その手を当てた。









『っ、』









たったこれだけのことに、心臓が跳ねる。









「っ…やっぱり、お前、すごい熱」









そっと手を離した渉は、ベッドの上の私に優しく毛布を掛けてくれて。









「…どうしよ、叔母さんまだ帰ってねぇしな」









困った顔で瞳を揺らす渉。









『…ゎたる、ご、めん…』









朦朧とする視界で、でも喉を震わせて渉に謝ると。









「なんでAが謝ってんの？そもそも雨の中走らせたのは俺のせいだし、それに、」









さらり、渉の指が私の髪を掬う。









「幼馴染を看病するのは当たり前、だろ？」









どきん。









熱のせいじゃなくて、今確実に、渉の言葉に熱が上がった。心臓が跳ねた。









…あぁ、ダメだ。









どうしようもなく、好き。

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