メリーゴーランド【うらたぬき】

三周目 ページ4

「…あれ？A」









がちゃ、ドアを閉めていると、後ろから声がした。









『わ、渉…っ？』









いつもはこの時間に登校しないはずなのに。









なんで渉が、待って、心の準備が、









「おはよ、なんか久しぶりだな」









私が大好きな声で、大好きな笑顔で。









挨拶されただけなのに、ぶわわっと顔に熱が集まってきた。









『うん、おは、おはよ、ぅ…』









なんだか顔が直視できなくて、ぱっと視線を逸らす。









「どした、眠い？」









渉が屈んで私の顔を覗き込んできて、もうなんだか脳がふにゃふにゃしてきた。









『ううんっ、大丈夫、』









大丈夫だから離れて下さい心臓がもちませんんん…。









「ん、じゃあ行くか」









『え、』









渉の言葉に目を丸くする私に、渉がさも当然かのように振り返る。









「一緒に行くだろ？」









え、









一緒に、登校？









「なんできょとんとしてんだよ、どうせ行くとこ同じだろーが」









『そ、うだけど』









なになになになにこの人天然たらしなの？









「…Aは俺と一緒に行くのやなの？」









少し暗い顔になる渉。









そんな顔されたら、









『嫌なんかじゃないですっ…！』









こう言うしかないじゃん。

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