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...
「泣かないでよ、独歩。」
「......ぇ、」
蹲る独歩の頭上から、突然声が降ってきた。
それは、何よりも今彼が求めている...Aの声であった。
独歩はバッと顔を上げ、目の前に立つAを見つめた。あの日から変わらない土汚れが着いたスカートが、やけに彼の目に付いた。
しばらくの放心状態から抜け出し、彼はAに掠れた声で問いかけた。
「な、んで」
「独歩、約束!忘れてたでしょ?探したんだよ!」
彼女はにっと笑い独歩を見やる。
その笑顔を見た独歩は目を見開き、ぼろぼろと大粒の涙を流した。
Aはそんな彼を見つめ、微笑んだ。
「......独歩はさ、ここに死にに来たんでしょ。」
「......」
「私の独り言になっちゃうんだけどさ、まあ聞き流していてよ」
Aは辺りを見回し、ぽつりと言った。
変にねっとりとした風が彼女の髪を掬い上げる。それを片手で抑えながら彼女は独歩の近くに腰を下ろした。
「私、昔は死んだ後ってどうなるのかなってずっと思ってた。幽霊になってこんなことしたいなとか、色々考えたりしていたなぁ」
「ステキな幽霊の彼氏を作ったり、とか!今聞くと笑っちゃう。」
「でもね、気がついたの。私達が
「生きている時に出来なかったことが、死んでからできるようになるなんておかしいもんね。」
真面目な語り口調のAに、思わず目を向ける独歩。彼女が一体何を話そうとしているのか、彼には見当もつかなかった。
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紺(プロフ) - kai_0998さん» 分かりみがフカヒレ (2019年12月8日 11時) (レス) id: c01d9ddcd5 (このIDを非表示/違反報告)
kai_0998(プロフ) - 紺さん» コメントありがとうございます。独歩にはどうしてもメリバエンドを迎えて欲しい気持ちがあります... (2019年12月8日 1時) (レス) id: 8c34b5ee67 (このIDを非表示/違反報告)
kai_0998(プロフ) - 鈴さん» コメントありがとうございます。褒めていただいてとても嬉しいです!楽しく読んでいただけたなら本望です...ありがとうございました (2019年12月8日 1時) (レス) id: 8c34b5ee67 (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - 独歩おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ (2019年11月30日 12時) (レス) id: c01d9ddcd5 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - すっごい感動しました!この作品を作ってくださってありがとうございます! (2019年11月29日 16時) (レス) id: 6cdcbd2af6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:kai_0998 | 作者ホームページ:http://id52.fm-p.jp/649/kieyuku/
作成日時:2019年11月28日 22時