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...
ネオンの光から逃れた人々の鬱憤が行き交う街を一人の男が歩いていた。その歩は今にも崩れ落ちそうなほどたどたどしい。
彼の名前は観音坂独歩。
ここ、シンジュクで働く普通のサラリーマンだ。
連日に及ぶ残業に終止符を打ち浮かれた気分で帰宅中の彼の頭はまるで酒に酔った時のようにフワフワとしていた。
「......ん？」
自宅近くの道へと差し掛かった時、彼は数メートル先の電柱のそばに人を発見した。どうやら電柱に凭れて座り込んでいるようである。
自分と同じようなサラリーマンが泥酔でもしているのか、と独歩はさほど気にしないまま歩を進めていたが、電柱が近くなるにつれその姿をはっきりと捉えることができるようになり、彼は思わず目を丸くした。
「あ、あの...君、大丈夫？」
彼は思わず、目の前の
長袖のセーラー服を着た彼女は、独歩の声にワンテンポ遅れて膝にうずめていた顔を上げた。
「......私に、言ってるの？」
「え、う、うん...。もう深夜だし、早く家に帰らないと...」
不思議そうに独歩の顔を見つめながら、妙に掠れた声でそう問うた女子高生。
独歩は気遣わしげに彼女を諭す。彼は家出の類を疑っていた。
しかし、そんな彼の心配を他所に、女子高生はキラキラとした表情で独歩の顔をじっと見つめて言った。
「へぇ......。へぇ...！そっかぁ...！！」
「な、何だ...何かおかしかったかな...」
「はっ！ううん！ゴメン、嬉しくて！」
女子高生はそう言って笑って見せた。
彼女のやけに儚い笑顔を目にして、独歩の胸は思わず高鳴る。若い子がこんな表情をするなんて、と彼は不思議に思った。
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紺(プロフ) - kai_0998さん» 分かりみがフカヒレ (2019年12月8日 11時) (
レス) id: c01d9ddcd5 (このIDを非表示/違反報告)
kai_0998(プロフ) - 紺さん» コメントありがとうございます。独歩にはどうしてもメリバエンドを迎えて欲しい気持ちがあります... (2019年12月8日 1時) (レス) id: 8c34b5ee67 (このIDを非表示/違反報告)
kai_0998(プロフ) - 鈴さん» コメントありがとうございます。褒めていただいてとても嬉しいです！楽しく読んでいただけたなら本望です...ありがとうございました (2019年12月8日 1時) (レス) id: 8c34b5ee67 (このIDを非表示/違反報告)
紺(プロフ) - 独歩おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ (2019年11月30日 12時) (レス) id: c01d9ddcd5 (このIDを非表示/違反報告)
鈴(プロフ) - すっごい感動しました！この作品を作ってくださってありがとうございます！ (2019年11月29日 16時) (レス) id: 6cdcbd2af6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：kai_0998 | 作者ホームページ：http://id52.fm-p.jp/649/kieyuku/
作成日時：2019年11月28日 22時
