野菜嫌い ページ4
「えーでは,ちゃっかり女子の初回放送お疲れ様ですということで」
「「「乾杯!」」」
私の音頭に合わせて,ジョッキ同士がカランと涼しい音を立てる。
キンキンに冷えたビールを一気に喉へと流し込むと,今日の仕事の疲れも一気に飛んでいった気がした。
「っあー,ビール美味しい……」
「あれ,Aビール苦手じゃなかった?」
「こないだ江口さんが美味しいクラフトビールのお店連れてってくれたの。そこで飲んだビールがすっごく美味しくて!」
好きになっちゃった!と正面に座るたろにぃへジョッキを掲げる。
するとたろにぃはわかりやすくへの字口になって拗ねた口調になった。
「えー,何それずるい。パイセン何で僕も呼んでくれなかったんですか」
「たろにぃ,その日ひょろっと男子の収録だったんだもん」
「宏太朗も今度な」
「絶対ですよ!」
「はいはいww」
私の左隣に座る江口さんが,拗ねたたろにぃを見てけらけらと笑いながらビールを煽る。
あっという間に1杯目を空けたパイセンは、ひらりと手を挙げて店員さんに合図する。すぐ気付いてもらえるから、背が高いってこういう時得だ。
「ビールもう1杯ください」
「私だし巻き卵も食べたいです」
「僕枝豆」
「あー,じゃあそれと,あと」
「この特製サラダもお願いします!」
「げ」
「野菜もちゃんと取らなきゃダメですよパイセン」
「……いらねえ」
「あと冷やしトマトとたたききゅうりもください」
「ねえええ」
かしこまりましたー!と元気に去っていく店員さんを恨みがましく見つめながら、今度はパイセンがへの字口になる。可愛い。
「野菜食べないとおっきくなれませんよパイセン」
「そうですよパイセン」
「これ以上おっきくなってどうすんだよ!ww」
「野菜食べないとハゲちゃいますよパイセン」
「そうですよパイセン」
「Aいちいち意味のない援護射撃してくんのなに⁉」
野菜が苦手な江口さんを弄るのもお決まりの流れ。本当、何を食べてここまで成長したんだろうか。カレーかな。
「……そういえば、僕まだちゃっかり女子聞けてないんだよね。どうだった?」
「んー……やっぱりメインでラジオやるの初だし緊張してたけど、いざ始まっちゃえばあっという間だったなあ」
特に、初回は生放送ということもあって、会話が詰まったらどうしようとか、噛んだらどうしようとか不安が直前まで拭えなかった。けど。
「パイセンがいると思ったら緊張感がなくなりました」
「ねえ俺それ喜んでいいの?」
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皐月(プロフ) - Aさん» ありがとうございます^^元々,恋人関係のあまあま江口さんのお話を書きたくて執筆を始めた作品なので,更にのんびりペースですがお付き合い編も少しずつ書き進めていきますので,よろしければご覧ください(^^)/ (2020年11月15日 18時) (レス) id: d2e19bebfe (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 更新お疲れ様です!気になる展開です。続き楽しみにしています!頑張って下さいね。 (2020年10月25日 22時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
皐月(プロフ) - Aさん» お返事遅くなりました。ありがとうございます^^のんびり更新となりますがお楽しみいただけたら幸いです! (2020年10月22日 19時) (レス) id: d2e19bebfe (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 最近読み始めたんですが素敵すぎて一気に読んじゃいました!これからも更新楽しみにしてます!! (2020年10月16日 1時) (レス) id: a957c976a9 (このIDを非表示/違反報告)
皐月(プロフ) - お久しぶりの投稿となってしまいました。2週間ほど私生活がばたついておりましたが少し落ち着きましたので,また少しずつですが更新していきたいと思います。のんびりとお楽しみいただけたら幸いです(^^) (2020年10月16日 0時) (レス) id: d2e19bebfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皐月 | 作成日時:2020年9月8日 21時