爆弾 ページ25
なかなか見れない江口さんの姿に,軽いジョブのつもりで何を聴いていたのか問く。すると,へら,とそれはそれは優しそうな表情になって。
「……Aがさあ」
「はい?」
──爆弾を落とした。
「Aがすんげえ可愛くて……」
「んぐっ」
「ぶはっ」
予想を遥かに超えるあまりの素直さに,俺と花ちゃんは2人同時に口に含んでいたお酒を吹き出しかける。
これは……大分,かなり,超レアだ。
江口さん明日の朝絶対後悔するやつだな……と思って花ちゃんを見れば,既にスマホを取り出してビデオ撮影の準備を始めていた。流石,素早い。
「花ちゃんそれ怒られるやつ」
「いやいや、もう1年以上無自覚同士のいちゃいちゃ見せられてんですよ?これくらい許してくれますって」
「……まあ,早くお互い素直になればいいのにとは思ってたけどさ」
「江口さん,Aのどんなとこが可愛いんですか?」
こうなった悪ノリ花ちゃんはもう止められない。毒を食らわば皿まで,手元にあったテレビのリモコンをマイクに見立てて江口さんの口元へ。
「……俺の前ではあんな生意気言ってたのにほんとは俺の名前1番に挙げてくれたとかめっちゃかわいいし……」
「ふんふん」
「それを良平さんに指摘されて大声出して誤魔化そうとするのもかわいいし……」
「それから?」
「ダミヘやったことないのに全力で演るところもかわいいし、その後照れるところもかわいい」
「……なるほど?」
「あとダミヘが先輩設定でもうかわいくてむりだった」
「……確かに江口さんの立場に当てはめられるといえばそうですね」
「ていうかもう顔も声も性格もみんなかわいい……」
「…… 賢章さんこれもう僕の方が恥ずかしくなってきたんですけど」
「大丈夫俺もだから」
「可愛いの定義が段々分かんなくなってきましたね」
「途中からもう聞いてないのに勝手に答えてるし」
「江口さんこんなキャラでしたっけ」
満足したのか,花ちゃんはカメラをオフにして机に置く。いつどのタイミングで仲間内に公開されるのかは謎だが,確実に後輩から弄られるネタがまた一つ増えたことだろう。
「……江口さんはAに告白しないんですか?」
ふと、気になって尋ねる。んー,と少し考えて,江口さんは弱く机にうつ伏せた。
「……しない」
「どうして?」
「Aからしたら,ただの先輩だし。今の関係で上手くいってるからわざわざ壊したくない。Aも仕事増えてきた時期だし,無駄に悩ませるようなことするのは嫌だ」
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皐月(プロフ) - Aさん» ありがとうございます^^元々,恋人関係のあまあま江口さんのお話を書きたくて執筆を始めた作品なので,更にのんびりペースですがお付き合い編も少しずつ書き進めていきますので,よろしければご覧ください(^^)/ (2020年11月15日 18時) (レス) id: d2e19bebfe (このIDを非表示/違反報告)
サチ - 更新お疲れ様です!気になる展開です。続き楽しみにしています!頑張って下さいね。 (2020年10月25日 22時) (レス) id: 379e7fdd5e (このIDを非表示/違反報告)
皐月(プロフ) - Aさん» お返事遅くなりました。ありがとうございます^^のんびり更新となりますがお楽しみいただけたら幸いです! (2020年10月22日 19時) (レス) id: d2e19bebfe (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 最近読み始めたんですが素敵すぎて一気に読んじゃいました!これからも更新楽しみにしてます!! (2020年10月16日 1時) (レス) id: a957c976a9 (このIDを非表示/違反報告)
皐月(プロフ) - お久しぶりの投稿となってしまいました。2週間ほど私生活がばたついておりましたが少し落ち着きましたので,また少しずつですが更新していきたいと思います。のんびりとお楽しみいただけたら幸いです(^^) (2020年10月16日 0時) (レス) id: d2e19bebfe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:皐月 | 作成日時:2020年9月8日 21時