団長と兎.3

94. ページ6

A「わ……私ちょっとこれから仕事だから」

神威「逃げるなよ。……お願いだから。」

―――そんな心配しなくても、Aの嫌がる事なんて何もしないよ。

怯える私へ、拗ねたようにアホ毛を垂らし呟く彼。

神威「……Aは、もちろん俺の味方だよね？……だったら、つべこべ言わずにそばに居てよ。……丁度お腹すいたし、一緒にごはん食べに行こう？」

―――きゅん。
少し強引な彼だが、あいにく私には、こんなに可愛すぎる生き物を放っておくことなど出来ない。

A「……っ……しょうがないわね。」

神威「流石、俺の選んだ女だね。」

A「……っ……あ、当たり前でしょ。」

―――――――――――――――――――――――

神威「すー……」

ご飯をたらふく食べ満足した彼は今、私の膝の上でお昼寝中である。

A「……神威」

優しく髪を撫でてやると、寝言を言いながらふにゃりと彼が微笑んだ。

……阿伏兎とは長い付き合いだと聞いていたし、喧嘩をしてしまった今、きっと神威も不安なんだ。

今までずっとそばに居てくれた人が突然、目の前からいなくなる。
それは……その痛みは、私には痛いくらいに分かるから。

A「……でもね神威。安心していいのよ。……私は、例え貴方の味方が誰もいなくなったって、ずっとそばに居るわ。何にも怖くなんかない。」

―――だから、神威、貴方はそのままでいいのよ。

神威「…………っ」

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