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A「か……む…ぃ」
掠れた声でそっと呟いたのは、愛しい人の名。
……こんなに迷惑をかけて、きっと凄く怒っているに違いない。
足でまといなんて必要ないと、きっといつかの時のように言われてしまうことだろう。
―――ポタ……
A「……っ」
今だって、体力を余計に消耗するだけだと分かっているのに涙をこぼして。自分でやった事なのに後悔して泣くなんて、本当にどうしようもない。
━━コツ、
A「……!」
誰かの足音。
しだいに大きくなっていくソレは、私の前まで来てピタッと止まった。
水月「━━A。」
A「……な……んで」
水月「喋るな……出血が酷い………助けるのが遅くなってすまなかったな。今、救護班を呼ぶから待っていろ。」
そう言ってテキパキと応急処置を私に施す兄。
再開するタイミングが丁度良すぎてもはやストーカーまたは偽物なのではと一瞬疑ったが、彼の必死の表情を見てその考えも、すべて溶けてなくなった。
A「……ぅ…っ」
水月「よしよし、怖かったな。私が来たからにはもう安心だ。」
さわさわと前髪の上から優しく撫でてくれるその手に、再び大粒の涙が溢れ出す。
でも、心配してくれる兄に私は今まで何も返せた試しがない。
A「……お……兄ちゃん…っ…ごめん……なさい」
水月「分かったからもう泣くな。傷に障るぞ。……それより、救護班を待っている暇はなさそうだな……」
A「…………」
ボソボソと何かを言う兄の声が、しだいに遠くなって。
―――そっと目を閉じた。
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みるく(プロフ) - 八神さん、こちらこそ最後までありがとうございました……!!これからも頑張ります! (2019年1月7日 13時) (レス) id: 4dd75c9f77 (このIDを非表示/違反報告)
八神(プロフ) - 本当お疲れ様でした!更新の通知が来るたびにいつも楽しみにしていました!これからも頑張ってください! (2019年1月3日 21時) (レス) id: 7ae8463a14 (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - 黒狐さん、返信遅くなってしまいすみませんでした……!ちなみに姦姦蛇螺、私は初めて聞いたんですけど、中々ホラーですね!面白そうですが。。。 (2018年11月27日 12時) (レス) id: 927439fb4e (このIDを非表示/違反報告)
黒狐(プロフ) - かんかんだらを知っている人が居るとは…ちょっと嬉しい、知らない人多いし… (2018年11月12日 20時) (レス) id: ceb7e35640 (このIDを非表示/違反報告)
みるく(プロフ) - 森田さん:あ、了解です笑 ご期待に添えず申し訳ありません……。また何かありましたらお気軽にどうぞ!! (2018年11月9日 19時) (レス) id: 927439fb4e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:みるく | 作成日時:2018年10月23日 19時