団長と兎.3

102. ページ14

Aside

"もう一人の貴方がいた、そっちのも早く殺して"

じゃないと、手遅れになる。

A「……っはぁ……ゲホッ……」

通信機がイカれてしまってから、私はどうしていいか分からず一人、敵から身を潜めている。

……だがまさか、こんな事になるなんて思ってもいなかった。

━━コツコツ

？？「みーつけたぁ」

A「……っ！！！」

満面の笑みを浮かべた殺人鬼。

どこからどう見ても欠けることなく再現された完璧な笑顔に、恐怖からか思わず後ずさり。

―――ガッ！

A「……ぐっ……！！」

かなり強めの蹴りをくらい、喉の奥に鉄の味が広がる。しかし、どうしてか私の体は思うように動いてくれない。

神威※「んー？悔しいなら仕返ししたら？」

A「……ゲホッ……神威は……こんなこと……しない……！！」

神威※「うん、そうかもね。でもさ、今更気づいたってもう遅いんだよ。」

―――その声や笑顔をみると、反撃しようとも無意識のうちに拒否反応が起こってしまうのだ。

A「……あ"ぁ……っ！！」

既に撃ち抜かれていた横腹を力任せに踏みつけられ、悲痛な声が辺りに響き渡る。

神威※「ふふ、どう？痛い？……アンタ、どうやらもう限界みたいだね。可哀想だから、死ぬ前にいい事教えてあげる」

A「……う"ぐ……っ……」

―――痛い、痛いよ神威。

目の前にいるのは全くの別人だと分かっているはずなのに、痛みにやられ変な錯覚すら起こし始めてしまった。

103.→←101.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す