団長と兎.3

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―――早く船出して……

""あ…なた……いた……こ……ろし""

ブチッ。
無線が切れる音。

神威「何があったA！！聞こえてるんなら応答しろ！A！」

サーっと、その場にいた全員が青ざめた。
俺を取り囲むように前線で戦っている団員も、時折心配そうにこちらを見やる。

阿伏兎「……なんてこった」

神威「……っ」

―――バキィ！！

あまりの力で握ってしまったために、無線機が粉々に粉砕する。

神威※「━━A。」

神威「……！！！」

―――ガシッ！！

神威「ニセモノの俺の声で、気安くその名前を呼ぶな……！！」

阿伏兎「……お、おい！」

胸ぐらを捕まれ罵られても、表情をピクリとも動かさないそいつ。

神威「お前らの仲間がやったんだろ……？落とし前つけろよ……今すぐ……！！」

━━ニセモノのお前の命で、償ってみろよ……！！

持てる殺気を全てさらけ出して怒鳴りつける。……だが、それでも依然として、あるかどうかも分からないソイツの心には響かず。

阿伏兎「……！！だ、だんちょ……」

―――なぜ。何を企んでいるんだ。どうしてこいつだけ、俺たちに手を出さない……？

―――彼女の居場所を聞き出すことも出来ない、なんの手がかりもない……どうする……？

―――Aは、あいつは、あの時俺達に何を伝えようとした？

""あ…なた……いた……こ……ろし""

神威「……」

………一体何、なんだ……！？

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