佰漆 ページ15
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禪院家の屋敷を出てすぐ、送りの車を手配してくれていた男の人に断りを入れ、さてどうやって帰ろうかと頭を悩ましながら歩いていた時だった。
「A、お疲れサマンサ―!!」
『』
何 故 こ こ に こ い つ が い る
恐らくトんで来たであろう目の前にいる不審者に、私は絶句する。
というか私が禪院家の屋敷に行くなんて情報、まだ───
「伊地知が禪院家にお呼ばれしてるってメチャクチャ焦りながら教えてくれてさー
流石の僕も気が気じゃなくてね
どう?ナイスガイに心配されて嬉しい?」
『伊地知くん余計なことを…!!』
なんで、よりにもよって五条なの!?
バカなの???伊地知くんまさかのバカなの…!!?
頭を抱える私に対し、五条はケラケラと他人事のように笑う
おい、誰のせいだと思ってんだ…!!
「と、まぁおふざけはこの辺にしておいて
また何か言われた?」
「ま、言われないわけないだろうけど」と続ける五条の言葉に、私はピタリと動きを止める。
いつもヘラヘラしてて掴みどころないのに、触れてほしくない部分になると急に真剣になって、私を1人にさせまいとしてくる。
…いつも通りにしててよ、調子狂う
そう何回思ったことか。
1番弱みを見せたくないって思ってんのに、なんで…
『…ここで話したくない。』
「んじゃ、高専でゆっくり話そうか。」
でも、同時に“こういう”話をしやすいのが五条なんて、私は口が裂けても言えない。
それは、かつての先輩後輩の関係だからか
それとも同じ御三家の人間だからか
あるいは、また別の理由があるのか───
それは、己のことなのに
未だに私は分かっていない。
俯く私の手に、ナニかが触れる
それが五条の手だって分かった瞬間、無言で彼は私の手を引っ張って歩き始める。
頭は撫でられたことあるけど、手を繋いだのは初めてだな…
見た目ヒョロヒョロなのに、その手は意外にもゴツゴツしてて
あのクソと話した後からか、それとも話した内容にあの人の名前が出てきたからか
あの明らかに武骨な手と、五条の手が同じに感じて
私は思わず泣きそうになった。
・
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それに気付いたのかは分からないが
五条は話しかける事もなく
高専に着くまで、私の手を離さなかった。
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祀央☆ハピラビ・ラビワドマネ(プロフ) - 更新はするんですかね?たのしみにしてますっ! (2022年5月18日 6時) (レス) @page24 id: cbcf5b3031 (このIDを非表示/違反報告)
菜奈(プロフ) - きになります!!続き!! (2022年1月20日 0時) (レス) @page24 id: 51a9e342b5 (このIDを非表示/違反報告)
おろし(プロフ) - 最近見始めました!!面白くて最後まで一気に読んでしまいました更新楽しみに待ってます♡ᵕ̈*⑅ (2021年10月23日 8時) (レス) id: 47520b13da (このIDを非表示/違反報告)
ツバメ - 凄く面白いです それに「あの人」(甚爾)がいて高専の講師として再開できたら。この人野絡み増やして欲しいです (2021年6月20日 15時) (レス) id: 020ea1b549 (このIDを非表示/違反報告)
Kk(プロフ) - 夜海さん» リクエストありがとうございます!!!ぜひ書かせて頂きますね! (2021年6月13日 11時) (レス) id: 1e9bbdba10 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:KK | 作成日時:2021年2月23日 20時