加茂さん家の天与呪縛ちゃん その3

玖拾捌 ページ6

五条side




僕が独断で決めた、交流会2日目の競技 野球

その審判をしている時、Aがスマホの画面を見て顔を顰めているのが視界の隅に入った。


最初はあぁ、非通知着信かなって思って

A、昔から非通知着信はスルーしてたから

その被害に遭っていたからこそ分かることだけど。




いつもの彼女なら取らずにスマホをしまうだろう

そう思っていたのに、彼女は席を外し始めた。






…おかしい



体は勝手に動いていて、審判を生徒達に放り投げて僕はAの後をつけていく。






そして、電話の相手との会話…









『…どっからケー番…つっても“御三家”お得意の情報収集か

テメェも暇人だな。』









いや、口調で分かってしまった

“電話の相手”が誰なのか。



今となってはあまり言葉遣いは悪くないが、昔─“俺達”が学生の頃、彼女は嫌いな奴に対して物凄く口が悪くなる

その癖が出るのは、過去に“俺”と“あいつ”だけ。




…どっから情報入手したんだ、あのクズ野郎。








『誰がテメェの為に行くかよ。


…日時は。』








あーあ、あっちの口車に乗せられちゃって


Aから聞こえる話の内容的に、“お呼ばれ”された事は分かった。







電話が終わったと思われた瞬間








『…あぁ〜〜〜〜クソｯ!!!』






ｶﾞｯ!!!!







苛立ちと共に、何かを殴った音が響く。

…物に当たるなんて本当に珍しいな





そう思いながら、僕は彼女の前へと足を運んだ。









───

──

─








「で、どうすんの

結局行くカンジ?」


『電話の内容聞いてたんなら分かってんだろ。』








これは完璧苛立ってんな

Aの隣に腰を下ろしつつそう思う。







「別に行きたくなかったら何とかしようか?

あっちは“次期当主候補”かもしれないけど、僕は──」


『いい そういう気遣いは…

自分で何とかする。』


「そ、ならいいけど。」









ホント、こいつの悪癖だよな

「人に頼らない」ってのは。



何でも自分で背負い込もうとする

そして、何人たりとも頼らせる隙を見せない。





昔から、本当に変わらない。





…いいじゃない、少しくらい人に頼ったって



別に僕じゃなくても、お前が大切にしている恵にとか

仲間であり同級である七海とか





…お前の周りには、今沢山人がいるってのに。






そんな事を言ったら、余計に頼らなくなるから絶対に言わないけど



でも、これだけは──

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