加茂さん家の天与呪縛ちゃん その2

漆拾参 ページ29

No side

京都校サイド─ミーティング








「宿儺の器 虎杖悠仁は



殺せ。」








Aの面倒なこと、というのは当たり

京都校は交流会に勝つことではなく虎杖を殺すことを、京都校学長を筆頭に念頭に置いている様子。








「アレは人ではない。

故に全て不問 事故として処理する


遠慮も躊躇もいらんぞ。」


「(嫌だなぁ…)」








唯一それに心の中で反対したのは、三輪だけである。








「殺すも何も、彼 死なないからここにいるんですよね?」


「先の虎杖の死は自死(・・)だと聞いておる。




敵対術師に止めを刺す時、気をつけねばならんことは?

加茂。」



「はい

死後呪いに転ずることを防ぐために、呪力で殺します。」


「そうだ

他者の呪力でしっかり止めを刺せば何の問題もない。


現在肉体の主導権は虎杖悠仁にある。

宿儺が出てこなければただの一回生だ。

縊るのは容易い。」









楽巖寺が話し終えた瞬間








ﾊﾞｷﾞｨ!!!






激しい衝撃音が室内に響き渡った。

音の方を全員が向けば、障子が外へと蹴破られている。





蹴った本人──東堂葵は「下らん 勝手にやってろ」と部屋をあとにしようとするが、加茂がそれを止めた。







「11時からの散歩番組に高田ちゃんがゲスト出演する。

これ以上説明いるか?」


「録画すればいい 戻れ。」


「リアタイと録画両方観んだよ

ナメてんのか?」


「(そこかよ!!)」







東堂のこめかみに青筋が浮き、一瞬で殺気立つ。







「いいかお前ら

爺さんもよく聞け



女の趣味の悪いお前らには疾うの昔に失望している

謀略 策略、勝手にやれよ。



但し、次俺に指図してみろ




殺すぞ。」









東堂と楽巖寺が部屋を後にし、残された京都校のメンツ


その内の1人である三輪が恐る恐る口を開く。









「どうします?

あの様子じゃ作戦行動なんて無理ですよね。


学長もどっか行っちゃったし

私あの人に殺されたくないですよ。」









と、何気なく虎杖襲撃を反対する三輪

このメンツの中で一番イカレておらず、一番まともな人間である。






そんな三輪の言葉に答えたのは───









「いいんじゃない?」

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