まえあしの恋する彼女達３

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「渉にAの事紹介したいのにな。」


それいっつも言ってくれるけどほんと無理だって。


メンバーさんはデビュー前北山さんとチラッと挨拶したくらいで他の人とは会った事もない。


たまにメンバーの彼女もいるからおいでよ？って誘われるけど気が向かないよ。


きっと皆さん煌びやかな世界でキラキラしてるんでしょ？


私みたいな一般人、気後れしちゃって顔なんて出せない。


悶々と1人で考えてると顔のぞき込まれた。


「･･･いつになったらオレの彼女っていう自覚してもらえる訳？」


「なにそれ？」


「オレだってライブくらい毎年来て欲しいしメンバーにA紹介したいし。
いつまで経ってもオレらお隣さんの関係でそこだけで完結してたら世界広がらなくない？」


確かにこんなに長い付き合いなのに家で会うか太輔の家に行くか。


私の友達も紹介した事もないし太輔のメンバーさんにだって会う気は無い。


でも


「世界広がらなくても私は太輔といられるだけでいいんだけどな。昔からずっとそうだったように。」


そうだけどさ。って。


「･･･オレと一緒にいる事でAがつまんない人生送ってんじゃないかって心配になんだよ。」


「･･･そんな心配しなくていいよ。」


確かに普通の人と付き合ってたらもっと行動範囲は広くて友達だってもっと多かったかもしれない。


でも私は太輔がいいんだからそんな事言ってもしょうがなくない？


心配だよって呟いて落ち込んじゃった。


私ってそんなつまんないように見えるかな？普通だと思うけど･･･


「あっ、でも前すごいお洒落させてくれてホテルのスイートルーム連れてってくれたでしょ？あんなの普通の人はなかなか体験出来ないし、やっぱり太輔といたらひと味違うなあって思ったよ？」


「でもあれ別にAそんなに喜んでなかったじゃん。」


必死になって空気を変えようとしてる私にどんよりとした返事が返ってくる。


なんて言っていいか困ってたら


「もうちょいオレの世界にも踏み込んで来て欲しいな。」

だからライブ来てくれるのは嬉しいって。

･･･そうかもね。


アイドルの部分の太輔はあんまり見ないように自分で避けてた所はあるかも。


だって太輔は小さい頃からずっと知ってるお兄ちゃんだったんだもん。


違う世界で頑張ってる太輔の事応援してるけどそこに入り込む勇気はないっていうか。

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