片想いの彼～One_sided love～２ (ページ8)

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健人にほんとに別れようって言える？

藤ヶ谷さんと約束したのにこのまま藤ヶ谷さんに甘えていいのかなってこの後に及んで迷って来てる。

健人の家行く前にちょっと頭冷やしたくて近所のコンビニに立ち寄った。

･･･え？

信じられなかった。
ヒロミツが目の前にいる。

「A･･･。」

ヒロミツの声でまた私の名前を呼んでくれるの？

胸がいっぱいでヒロミツって名前を呟くのが精一杯だった。

どうしよう？

あんなに会いたかったヒロミツは
私の知ってるヒロミツとは違ってすごく落ち着いた大人の男の人になってて

･･･余計ドキドキする。

この４年の間、出来るだけヒロミツの事テレビでも見ないように避けてた。だって見たらまた私の気持ちが暴走しちゃいそうだったんだもん。

だから私の中のヒロミツは４年前のあの付き合ってた頃のまんまだったのに。

その頃より更に魅力的になってるヒロミツに自分の気持ちが抑えられそうにない。

おかしいよね。
ハットにメガネにマスクしてるのに、パッと見ただけでそんな風に感じちゃうなんて。

でも彼の醸し出す雰囲気がグッと大人びて目が離せなかったんだ。

堪らずちょっと話せないかな？って言ったら何の躊躇もなく車に乗せてくれた。

･･･元カノにも優しい、そんなヒロミツが好きなの。

ヒロミツの車に乗るのはあの温泉に行った時以来だったけど、あの時の車が変わってる事に長い年月が経ってる事を思い知らされる。

「元気そうじゃん。」

運転しながら私達の事なんて何も無かったみたいに話しかけてくるヒロミツが少し憎らしかったけど

･･･そうだよ。ヒロミツにとっては私は短い期間の『彼女』としてただ通り過ぎて行っただけの存在だったのかもしれない。

でも、私の仕事の事、知ってくれてるみたい。

「頑張ってんじゃん。」

今そんな事言って貰えるなんて。
ほんとに今まで頑張ってきた甲斐があったって泣きそうになる。

悟られないように今やってる仕事の話しを矢継ぎ早に喋りまくったと思う。

そんな私の話しを以前のように優しい顔して聞いてくれるヒロミツがいて勘違いしそうになる。

会話が途切れた。
今言わなきゃ。

「ヒロミツ。あのね？前付き合ってた時の事なんだけど。
今更なんだけどずっと気になってて･･･。」

何て言えばいいの？
今更謝らせてもらうなんて厚かましいよね。