片想いの彼～One_sided love～２ (ページ5)

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51 藤ヶ谷side ページ5

最近ドラマに出ずっぱりのAちゃんの浮いた噂がオレの耳にも入ってくるのは早かった。

･･･神田Aが高橋健人と付き合ってるらしいって。
まさか？高橋さんって結婚してるだろ？
あのAちゃんが不倫？

信じたくないけどもしそれが本当だとしたら
４年前から前に進めてないのはオレだけじゃないのかもってAちゃんが心配になるのは考え過ぎか？

もし、Aちゃんが北山を忘れられてないとしたら･･･？

ありえない話じゃないよな。

あんなに一途だったAちゃんが北山を忘れられずに不倫っていう不確かな関係を求めてしまうのなら納得が行く。

叶わない想いの捌け口がそこへ向かわせる。

オレだって似たような事してきたから尚更わかるんだよ。
でも、だとしたらほっとけない。

結婚してる人に拠り所を求めたって絶対に幸せになんかなれないんだから。

いても立ってもいられなくなったオレがAちゃんに会いに行く事は簡単だった。

今までだって
同じ現場にいるだろう所で仕事して来てたんだ。
会わないように注意してただけの事。

Aちゃんが出演してるドラマの現場に向かって楽屋のドアを迷わずノックした。

久々に会えるAちゃんに対して不思議と期待も緊張もなかった。
それくらい必死だったと思う。

ドアを開けると懐かしいAちゃんの顔を真っ先に見て

･･･なんだよ。全然変わってないじゃんって。

雰囲気も見た目も絶対変わってるはずなのに
オレにとってはあの頃のまんまのAちゃんがそこにいたんだ。

「･･･藤ヶ谷さん？」

オレを見て戸惑ってる。

「久しぶり。」

自然と笑顔で挨拶したらAちゃんも微笑んで会釈してくれる。

話しあるって言ったら一瞬顔が強ばったけどソファーに促された。

オレが話しを切り出すのを緊張した面持ちで待ってる。

「･･･わかってんだ？何の話しか。」

「藤ヶ谷さんがまだ私の事そんなに心配してくれるとは思いませんでした。」

「･･･止めてよ。お願いだから。」

「･･･ですよね？わかってます。わかってるんですけど･･･何で私別れられないんだろ？それがわからないです。」

苦しそうな顔のAちゃんを見て
今ならオレが役に立てる気がした。

「オレん所、来て？」

びっくりした様にオレの顔を見てる。