49 藤ヶ谷side ページ3
北山には完全に持ってかれたからしょうがない。
でも、なんで誰でも良いとかいう男と寝んだよ？
そこまで追い込まれてたAちゃんの事、オレはどうしてやる事も出来なかったのか･･･？
当然か･･･。
オレは完全に部外者なんだから。
オレは悩んでる相談にも乗ってやる事すら出来ない存在だった事、Aちゃんが他の男にその感情を求めた事、全てにおいて出る幕が無かった現実に吐きそうになる。
「オレ、出来る事ないかな？」
この後に及んでもまだAちゃんに頼って貰いたいって縋る思いで聞いた。
小さく首を振ってる。
「･･･藤ヶ谷さんといるとヒロミツの事どうしても考えてしまうから･･･もう会えません。」
これ以上何も言える事なかった。
オレの片想いもここで終わったんだ。
Aちゃんにとってオレはただの彼氏と同じグループの人、くらいにしか思われてなかったんだよ。
成就してない思いは忘れるのも簡単だ。
そう自分を無理矢理慰めて
･･･もう４年だ。
TVの中のAちゃんをボーッと見つめながら
もうオレの知ってるAちゃんとは違うんだろうなってぼんやり思う。
「元カノの活躍、どんな心境ー？」
さくっと北山に聞いちゃってる二階堂が心底羨ましい。
「･･･いいんじゃね？」
やっぱり適当に答えてる北山は本気でもうAちゃんの事は過去だ。
渉から北山に好きな子が出来たらしいって所までは聞いてたから。
オレの知る限りではAちゃんと付き合ってた時以来の本気な子なんだと思う。
あいつだって吹っ切れんのに4年かかったって事か？
まさか。そんな訳ないよな。
４年も１人の人を想い続ける程の相手に巡り会えるかなんて稀だ。
しかもあいつは浮気されて容赦なく自分から終わりにしたんだ。
やっぱオレだけかよ。
オレはAちゃんの事何も知らない。
抱き合った事も無ければ
触れた事だってあったかなかったか･･･。
それなのに。いや、だからこそか？
今でもAちゃんに触れてみたくて
抱きしめたくて、想像ではそれ以上の事も何度も頭で考えてるオレはまるで初恋をしてる中学生みたいだ。
もちろん４年の間にそれなりに彼女らしき子もいたし、Aちゃんと雰囲気の似てる子に心奪われたりもした。
でもダメなんだよ。
一瞬でもいいからAちゃんをオレの物にしたいって思いが未だに消えてくんないだ。
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作者名：Haru
| 作成日時：2018年2月25日 21時
