48 藤ヶ谷side ページ2
「おっ！Aちゃん！」
TVが付いてる楽屋で急にドキッとする名前を二階堂が小さく叫んだ。
無意識に北山を見てしまったけど、なんて事ない顔して新聞読んでる。
･･･オレだけかよ。
あれからも変わらずAちゃんの存在が色褪せてないのは。
４年前、北山の様子がおかしかった時あって滅多に話しかけないオレでもどうした？って聞いたんだ。
「終わったんだよ、Aと。」
無表情でそれだけ言った北山に
それ以上何があったか聞けなかったオレは、Aちゃんが相当落ち込んでるんじゃないか？ってそればっか心配して電話かけまくった。
ようやく連絡がついていつものように強引に誘って。
ヒロミツに会いたいって涙を流してた時以来のAちゃんと会った時、どこか違う人のように思えた。
オレの顔見るなり悲しそうに微笑んでお久しぶりです。って小さく会釈したAちゃんに、軽はずみに誘った自分を責めたけどどうしてもオレには２人に何があったか知る権利があると思った。
北山と撮られたばっかだったし、オレと会う所も誰かに見られると更にマズイと分かってたから入念に下調べした場所にAちゃんを呼び出した。
「心配した。」
オレの言葉に苦笑いして
「色々藤ヶ谷さんには相談に乗って貰ったりヒロミツに会わせて貰ったりしたのに、自分からダメにしちゃいました。」
小さい声で淡々と話すAにも表情はなかった。
２人して同じ顔してる事に別れたはずの２人の思いがまだ交差してる事を感じたオレは、今日チャンスなんじゃねえか？って自分の想いを押し通そうとした事がまるで無駄だった事に気付いて自分に嫌気がさす。
「･･･自分からダメにしたって？どういう事？」
自分の気持ちはとにかく押し殺して相談係りに撤するけど、言いにくそうにしてる。
「言いたくないならいいんだけど。」
首を振ったAちゃんは自嘲気味に、耳を疑うようなことをはっきりと俺の目を見て言い放った。
「私が浮気したから。」
「･･･なんで？」
無意識に問いかけたのは相談係だからじゃない。
Aちゃんの事好きな男としてその事実を信じたくない気持ちで無意識に聞いてた。
「･･･誰でも良かったんです。
･･････淋しくて。」
ポツポツと話すAちゃんが儚げで
なんでその相手がオレじゃなかったんだ？って悔しくて堪らなかった。
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作者名：Haru
| 作成日時：2018年2月25日 21時
