おひとりさまの憂鬱

１３.大倉side ページ13

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「ほい、乾杯、」



いいワインを買った。



今日はAは多分落ち込んでるはずで。



今のとこ見た感じ変化は感じられへんし
慰め方なんかわからへんけどとりあえずいいワイン。





「なんの乾杯？」


「特になんもないけど。」





さっきまでAの会社にいてたって言うのはまだ後でいい。



Aから話してくれるのを待つ。






無言でワインを一口飲むと
Aはグラスを眺めて「おいしい、」と呟くから
少しほっとする。





「な、俺らいっつも家でしか会わへんからたまには外でデートせーへん？」


「･･････デートって。付き合ってるわけじゃないのに。」


「冷たっ。酷いわぁー、つか俺彼氏のつもり！」




つかなんで毎回抱かしてくれんのに彼氏じゃないねん。
おかしいやろ、と突っ込みたいけど今は我慢。




「･･････彼氏、いらないしさ。っていうかもう会え、･･･ない、･･････かな。」


「･･････なんで？」


「大阪。異動になったから。」


「大阪！？いつから？」


「もう、来週には行くから。･･･今日でこういうの、さ、もう、、」


「アホちゃうん？」





思わず抱きしめていた。




俺を拒もうとしてるつもりなんやろうけど
Aの葛藤が手に取るようにわかる。




「･･･付き合ったらええやん。なにを躊躇することがあんねん。」


「･･･だってっ、私、忠義をいいように利用してたっ、」


「俺は好きで利用されてただけやって。そのうち絶対俺がおらんとあかんってなると思ってたし。」


「でもっ、･･････」


「･･･おまえは黙って俺の彼女になればええねん。なんか不満ある？」





抱きしめていた腕を解いて
Aの顔を覗き込むとAは目に涙を溜めていた。




「ごめん、私、バツイチだし。ほんとにもう彼氏なんて作る気なくて･･･なのに、忠義の優しさに甘えて、酷かったよね、」




頬を伝う涙を眺めながら
俺の為にこんな涙を流してくれるAが心底愛おしいと思った。




「酷くなんてないし。彼氏作らへんて、なんでそんな決めつけんのん？そんな決めんでも流れに任せたらええやろ？だってAは俺といたいって思ってるやん？」

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