魅惑的ミルフィーユ

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知ってたつもり。
あいつが誰にでも慕われてて皆があいつに癒されてたことを。



なのに、今まではなんとも思わなくて
むしろ、自分だってその中の一人で園田によくちょっかい出してた口だったのに、



腹が立った。



気安く園田に話しかけてる男ら全員に。



そしてもっと腹が立ったのは
それを嬉しそうに返してる園田に、だ。



なんだあいつ。俺の事好きとか言っておきながら
結局誰でもいいんじゃねーの？って。



振った立場なのに勝手にイライラしてた。



わかってる。
園田が俺に本気だったのも誰でもいいわけじゃないのも。
あの夜、非力なくせに俺を誘惑してきたあいつの事も。
真っ直ぐでストレートに想いを伝えてくる割に不器用で
自信なんてないくせに懸命に俺を求めてて。



わかってたよ。
でも、だからこそ応えられなかった。



そして、玉森に耳たぶを無防備に触られてるあいつを見ると本気でイラついた。
ただじゃれついてるようにしか見えない。



･･･付き合ってんのかもな。



玉があんなに心許してる女なんて他に知らないし。
宮田と話してる時みたいに嬉しそうな顔してる玉が答えなのかな･･･って。



園田だって、俺に振られた後に、玉みたいな男に優しくされたら簡単に落ちるのは理解できる。




いいじゃねーか。若いもん同士。
お似合いだし、俺がどうこう言える立場じゃねーし。


園田が幸せならそれでいい。



そう思ってるくせに
アンケート集計の為に一人で行こうとしてる園田が気になって
俺じゃなくてもいいのにわざわざついて行ってしまった。



なんだかんだ言い訳をして少しでも同じ時間過ごしたい、とか思ってしまう。







駅前に到着して、アンケートを渡すと
緊張からか少し不安げな園田の髪の毛が風に揺れる。



思わずその風になびく栗色の髪を耳にかけた。



他意なんてない。
アンケート取るのに表情がわかりやすく
明るい園田の顔をよく見せた方が心象がいいと思ったから。



そう思いながら、その顔を見てドキっとしてる自分に自己嫌悪だ。



あぁ、これはもう完璧園田に惚れてんだって自覚して。



でも、園田は玉の方がいいに決まってる。
俺なんてあいつと13？離れてんだろ？
マジで犯罪じゃん、やっべ、



もし玉と付き合ってなかったら暴走しちゃうとこだわ。
うん、玉でいいんだ。それでいい。それがいい。



何度も何度も自分にそう言い聞かせて
アンケートを取るのに集中した。

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