魅惑的ミルフィーユ

「恋は予測不能」園田side -Haru- ページ30

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「おまえを泊めた日。彼女にするつもりなんかなかったからもちろん手なんて出せないし。でもその後玉といい感じなの見たら･･･なんであの時･･･って。」


「･･･私と玉森さんはずーっとあんな感じでしたよ？」


「ははっ、そうなんだろうな。つまり、あの夜からおまえを見る目が変わったって事なんだと思う。どんな時も男に愛想振りまいて笑ってるおまえになんか･･･ちょっとイラってきてたりした。」







待って。
これは私の事だ。
北山部長は、私の話をしている。





「･･･ぶちょー、私のこと、好きなんですか？」


「さっき言ったじゃん。なに？もっかい言わせたいの？」


「お願いしますっ、もう一度！」



心に刻みたい。
夢じゃないって。
いや、夢なの？これは。



ぎゅーーって頬っぺたをつねってみる。




「ちょ、なにやってんだっ？」


「痛いです。夢じゃないみたいです。」



やれやれって顔してるけど
部長はどこかいたずらっぽい顔で微笑んでる。




「好きだよ、」




言いながら部長の腕が伸びてきて
私の後頭部に手を回す。




顔が近づいてきて、




部長の唇が私の唇に触れていた。





夢じゃ･････････ないみたいだ。






目を閉じる事も忘れて
間近にある部長の顔を見ることも忘れて
私はやっぱり放心していた。



部長の唇は、めちゃくちゃ気持ちよくてまるで天国だ。



でも、胸のドキドキが止まらなくて動機が激しくて
上手く息が吸えない天国だった。






「おーい、園田？大丈夫かー？」


「だ、だ、大丈夫ですよっ、き、キスくらい？大丈夫ですっ、」




くすくすと笑う部長は
私がちっとも大丈夫ではないことは既にお見通しだ。




気持ちを落ち着かせよう
そう思ってパンツスーツの中のズボンのポケットに入れていた
二階堂さんから貰った飴があったのを思い出した。




「部長！私！飴食べます！」


「･･･いいけど。」



ガバッと部長から離れて
冷静になるべくカサカサと包み紙から飴を取り出して口の中へ放り込んだ。




甘い。イチゴの飴だ。
甘すぎるからやっぱりこれは夢ではない。





冷静になれたら少しだけ調子がでてきた。




「でもっ、ぶちょー、いきなりキスとかやっぱりチャラいですよね？いや、大丈夫。大丈夫ですけどね？」


「大丈夫なんだろ？じゃあチャラいとか言うな。」


「ま、まあそうですけど。」


「何味？おまえだけずりーな。腹減ってきたわ。」


「イチゴ味です」

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