魅惑的ミルフィーユ

「恋は軟弱」安達side -ニイナ- ページ12

「安達さん、このアンケート見てもらってもいいですか？」

園田さんに声をかけられて、手元を見ると分厚いアンケート用紙の束。

「え？これミーティングで言ってた分？もう取れたの
？」

「昨日…北山部長と行ったんです」

「そっか、早いね、ありがとう。集計半分手伝うよ」

「ありがとうございます、お願いします」

にこって笑う。

可愛いな、やっぱり。

園田さんから受け取ったアンケートの答えをパソコンで集計していたら、玉森くんが通りかかった。

「アンケート？」

ひょいってパソコンをのぞきこんでくる。

ち、近い近い。

いつ見ても色白いし、肌きれいし、まつ毛長い！

と、心の中で叫びながら、平静を装う。


「もう取ったんだ、やるじゃん」

「あ、私じゃなくて園田さんが」

「園田ちゃん？へー、あいつ仕事は真面目なんだよな。めっちゃサボったりしそうなのに」

そういうギャップいいな、って思ってたりする…のかな。


玉森くんがパソコンの画面を見たまま言う。

「……園田ちゃん普通だった？」

「え？」

「昨日から元気ないような気がするんだよね」

「…気づかなかった、けど」

「そう？んじゃ気のせいかも。あ、明日の同期会店決まったって」


会社から近い居酒屋の場所を言うと、19時ね、って玉森くんは席に戻って行った。


アンケートを集計しながら、どこか上の空だった。


玉森くんは園田さんのこと、よくわかるんだな。


やっぱり玉森くんは園田さんのこと好きなのかも。

というか、付き合ってるのかも。


遠くからそうっと見てるだけでいい、なんて言いながら。

そんな些細なことが引っかかってしまう自分が弱くて嫌になる。





・





翌日仕事が終わって、昨日玉森くんが教えてくれた居酒屋に向かうと、宮田くんと玉森くんはもう先に来てた。

宮田くんが気づいて手を振ってくれる。

「アダッチー、こっちこっち」

「え！安達さん？珍しいね！」

振り返って口々に言われる。

「ほんとだ安達じゃん。レアキャラー！」

営業の武田くん、ずけずけ物言うからなんだか苦手なんだけど。

運悪く、武田くんの隣しかあいてない。


玉森くんは同じ並びだけど、席は遠めであんまり見えないし。

宮田くんも玉森くんの前だし。


ああ、やっぱり来るんじゃなかったかも。

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