まえあしの恋する彼女達

※ ページ37

「なんで晴人と別れたの？」


って切り返して来た。


別れたって報告だけで理由は聞いてないらしい。


「長すぎたのかな？
晴人にドキドキしなくなったんだよ。

･･･それでも良かったんだろうけど。お互い慣れすぎたんだと思う。」


それを聞いたタカシは驚いたように


「おまえら２人の間にドキドキが存在してたなんて知らなかったわ。」


って本気で言ってる。


「ドキドキしない関係では付き合えないでしょ？」


呆れて答えた私に向かいに座ってたタカシがゆっくり私の隣に来た。


どうしたんだろ？って思ったら急にフワって抱きしめて来て


「ドキドキする？」


って掠れた声で聞いてくるもんだから


ドキドキっていうかビックリ？


肩越しからいい香りがしてあぁ、タカシもオトコなんだなって。


でもあまりにもらしくない行動にちょっと笑っちゃったら
おいって突っ込まれて顔見たら真っ赤だし。


「タカシに抱き締められる日が来るとは思わなかったよ。」


「おまえ、オレの渾身の口説きを流し過ぎだかんな？」


ってまた落ち込んでる。だって。わかんない。


「･･･わかんないよ、タカシ。」


本音がポロって出ちゃったら


しばらく考え込んで私を見てたタカシがゆっくりキスして来た。


触れるだけのキスだったけどすごく長くしてるような感覚で


唇を離したタカシが


「今の、嫌じゃなかったら付き合って？」


って今度はちゃんと真剣に目を見て言うから、ちょっとドキッとした。


「･･･嫌だった？」


自信なさげに私の顔をのぞき込んで言うタカシが可愛くて


悪くないかもって思っちゃったんだ。





・





「あっ、今ドキドキした？」


「は？してねえしっ。」


ちょっと不意打ちで抱きしめてみただけでタカシの反応が面白すぎて可愛い。


･･･こんな可愛いかったっけ？


晴人といる時は何とも思わなかった事が
付き合ってみるとタカシは相当オトコとしての魅力も可愛さも、かっこよさも持ち合わせてた人なんだって知って驚く。


私ってほんとに好きな人しか見てないんだなって改めて気付かされる。


晴人と付き合ってなかったらタカシとも会えてないんだけど


晴人がいなかったら私はきっともっと早くにタカシとこうなってたと思う。


･･･晴人は気付いてたのかも。
私達がゆくゆくはこうなるって。

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