キミの襟足にキスがしたい ２ 【完結】

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ミツとの半同居生活



太輔との生活



それは不思議な程、私の中で上手くバランスが取れていた。



週一ペースで帰ってくるミツで充電して
残りの日々は太輔と過ごす。




そんな生活を半年程続けて、季節は真夏から秋へ移ろう頃だった。



ミツは、先月まで放送されていた民放の深夜ドラマで俳優デビューをした。




主人公の親友の役どころで、エンドロールのクレジットは出演者で三番目に名前が載っていた。



なんと、ミツは18歳の役で
誕生日を迎えた彼の26歳という実年齢を感じさせないくらい驚くほどヤンキーの高校生を演じ切った。



それで茶髪の長髪だったんだね、とそこで初めてわかって、私も聞かないけど、ミツも何も言ってくれないんだな、と寂しさを感じた。





まさか、ミツがドラマに出るなんて思いもしてなくて
発表された時から心待ちにして
放送を楽しみにしていた。



いざ、初回、ドキドキしながらテレビの前で正座して見て･･･







私の知らない、俳優のミツがいて。





自分の気持ちがどう動くかか心配だったけど
テレビの中のミツはミツ。
私といるミツもミツ。



と自分の中で折り合いがついてほっとした。







忙しいだろうに、ミツは変わらず私にマメにLINEをくれて、そして帰ってきてくれた。




ドラマ見たよ、と私は懸命に感想を言って
ご飯を食べながらミツは照れくさそうにその感想を聞いてくれた。



深夜にも関わらず話題になったそのドラマの影響で
ミツは今まで以上にアイドルのように女の子から人気が出始めた。



過去のＣＤやライブ映像も再び注目されて
ビルボードのランキングに上位に名前が上る時もあったほどだ。




だよね！あの顔にあの声だよ？
しかも可愛いもん！
むしろ、どうして今気付いたの？って不思議なくらい！！



私だって以前の歌ってたミツを知らなかったくせにそんな風に思って
自分が褒められて認められた気になって私は鼻高々にその関連のネットニュースを何度も読んだ。



でも、ミツはあまり喜んでるようには見えなかった。



私は、それがどうしてか？と聞けない。



ミツは私の知らない世界で戦っていて
その領域には入らせない空気を纏っていた気がしたから。







･･････そしてそれはやっぱり思い過ごしや私の独りよがりじゃない。





ミツは、人気と共に明らかに私には遠い人になった。






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