キミの襟足にキスがしたい ２ 【完結】

５４ ミツside ページ5

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男として見られてないことを存分に逆手に取った。




Aちゃんの胸に顔タッチした時
下半身やんばかったんだけど、即寝たフリすると受け入れてくれて。



胸に顔埋めてんのに頭撫でてくれるとか
俺はAちゃんのなんなんだろーなーって虚しくなりつつ、でも嬉しい。俺も、俺のオレも。



すぐ体離されたけど、Aちゃんが寝たのを確認して目を開け、寝顔を見つめる。





綺麗な顔。
寝てる時まですましてやがんの。




なーんか無理してる気するんだよな、太輔との事。



でも無理してでも、一緒にいたいの、かな。



はぁ。とりあえず俺に出来るのはAちゃんを抱きしめて自分が満たされる事。



充電だよ、充電。
最近頭こんがらがって若干パニックだけど
こうしてると浄化されてくみたいだ。



静かにその背中に腕を回しても
顔色を変えず眠ってるAちゃん。



俺が抱きしめる事で、Aちゃんも満たされる日が早く来ればいいのに。




次の日も、また次の日も抱きしめて眠ったけど
Aちゃんは普通に受け入れてくれるようになった。



きっと、俺はAちゃんの抱き枕かでっけーぬいぐるみか、もしくは大型犬だ。



どんな扱いでもいいよ。
少しでもAちゃんを癒せることができていたら。









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「ちーす、」


「おせーよ、ミツ。10時に来いっつったろ？」


「ごめんごめん、女が離してくんなくてさ。」






Aちゃん、今日は休日だからってなかなか起きなくて
だから俺もずっとくっ付いてたくて起きるの遅くなった。



でも横尾さんは俺のジョークめいた言葉にギロっと睨みをきかせる。おお怖。





「な。今、俺達の事務所の生き残りかかってんだよ、ほんとにわかってんの？いい加減真面目にやってくれ。」


「わかってるよ、ちょっとそんなピリッとした空気を和ませようとしただけじゃーん、」




って、これはほんと。





今の横尾さんは常に神経質に眉間に皺を寄せてる。
それだけ会社がやべーって事なんだけど。









友達の横尾さんと立ち上げたこの芸能事務所は
社長の横尾さんの下、俺一人が歌手でやってたんだけど



俺のヒット曲と共に莫大な金が入り
会社を広げようと目論んだ横尾さんは
元々知り合いだった玉をモデルとして雇い入れ
玉が軌道に乗ったら次は若い女の子の樹里を女優に育てるべくスカウトして来たんだ。

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