キミの襟足にキスがしたい ２ 【完結】

７７ ミツside ページ28

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まさか、太輔と別れたのか？






あの記事が出た時
俺は太輔に会いに行ったんだ。



俺とは違って一般人のAちゃんを傍で守ってくれるのは太輔しかいないって思ったから。



俺は、ただ好きなだけ



近くにいたってAちゃんに迷惑をかけるだけだって
何もしてあげられる事がない自分に失望して
太輔に頭を下げに行くしかなかったから。



それなのに、なんで別れたの？








＿＿＿＿俺の事、少しは気になったから？






自惚れてるかもしんないけど
確かにAちゃんが手に入りそうな瞬間はあったから。




でも、でもさ、







「Aちゃん、俺のLINEブロックしてるっぽいんだよね。俺にはどうする事もできないんだわ。」






それって、もう俺とは会わないって意思の表れだろ？



とにかく謝んなきゃって送ったLINEは
今でも既読がつかないまんま。




せめて既読をつけてくれたら
そこにAちゃんの存在を確かめられるのに。



あの記事によってAちゃんがどれだけ大変だったかは計り知れないけど、こんな住む世界が違う俺なんて懲り懲りだったってことじゃないの？



そもそも、付き合ってもないし
彼氏はいたわけだし
俺に執着する理由がないっていうか。







「･･････ミツとお姉さん、似てるのかもね。」


「どこがよ。」


「お互い好き同士なのに遠慮して、相手の事ばっか考えて、結局幸せになれてないの。」


「は？俺幸せだし。」


「どこが？あれだけ好きなライブやってんのに上の空で何が幸せなんだよ？」







･･････よく見抜いてんな。






「お姉さんにも聞いちゃった俺。幸せ？って。」


「何聞いてんだよ、バカか？」


「『まあまあ』だってよ。なんだそれ。酒抱えてまあまあ、だよ？ミツならお姉さんのその言葉の意味、わかるんじゃないの？」






･･･幸せ、と言いきれなかったAちゃんの気持ち･･･？



単なる同じマンションの住人にそんなこと聞かれて幸せです、とか言うかよ？



でも･･････、




俺にはその"まあまあ"が強がってる言葉に思えていてもたってもいられなくなった。







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