キミの襟足にキスがしたい ２ 【完結】

６９ ミツside ページ20

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なんだこりゃ･･･、






目の前の机に置かれてるのは
Aちゃんのパジャマを着た俺と
通勤途中のAちゃんが向かい合って微笑み合ってる写真が一枚。



恐る恐る顔を上げると
鬼かと思ってたウチの社長は
スーパーサイア人ばりに怒りの炎を背後からこれでもかってほど放出させている。






「これ出るぞ、明日の週刊誌。」


「マジかよ？相手は一般人だろ？」


「もちろん、姫野さんには目元辺りモザイク入るだろうな。でも知ってる人が見れば、誰かわかる。」






･･･待って待って、考えろ、俺、



全然気が付かなかった、
いや、あんな女物の服着てる所撮られるなんて想像もしてなかった。



入る時はあんなに辺りを牽制してたのに
なんでよりによってあの時に･･･っ、






「これ、記事。樹里と二股掛けてるけど、本命はどっちだ、みたいに面白おかしく書かれてる。」





もう一枚、紙を渡されて記事の内容を読む。





「ちょ、･･･これ、Aちゃんの会社も写ってるし、年齢まで書いてて、しかもイニシャルHさんって、知り合いならすぐに誰かわかんじゃん！」


「だな。通勤途中だったんだろ？その後付けられたんだよ、」


「嘘だろ･･･？」




俺はともかく、Aちゃん追い回すとかやっていい事と悪い事あんだろ？




「樹里のヌード掲載でもみ消すか？」


「は？」




ふっ、と可笑しそうに笑って見せる横尾さんの目の奥はちっとも笑ってなんかない。





「って。そんな事考えた俺、最低だろ？」


「っ、･･･考えただけかよ、勘弁しろよ、」
「勘弁して欲しいのはこっちだっ！」




バン！と机を叩かれて、ひらひらと写真がまい落ちていく。



俺とAちゃんの笑顔が
不規則に揺れて、床に落ちた。





「例え、たかが俺の考えの精一杯の譲歩を見せても、そんなの何の抑制にもなんねーよっ、この記事は、俺の力じゃどうしようもないほど威力あんの、･････････わかるか？」





もみ消そうと、してくれたんだよな。



でも、こんな弱小事務所に今売れてる俺のゴシップ記事が相殺される程のネタも金もウチからは出せない。



つまり･･････






「姫野さん、これから多分追い回されると思う」




事と、




「おまえも仕事減るだろうな。とりあえず来る仕事は今までみたいに選べねーから。覚悟しとけ。」




･･････って事か。




Aちゃんとも、もう、会えない、って事、か。



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