キミの襟足にキスがしたい

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二階堂と寺嶋さんの結婚パーティーは幸せに満ちていてものすごく温かい雰囲気。




実は寺嶋さんは両親と折り合いが悪く音信不通だったらしく
二階堂がサプライズでパーティーにご両親を招待していて、感動の再会となった。




「二階堂、そういうのするタイプだったんだね。」





久しぶりに会った元同期の楓と立食の会場の隅っこで静かにグラスを合わせる。




「だよね。意外。でもすごく寺嶋さんのこと想ってるって伝わってなんだか泣きそうだったよ私。」




･･･私も。
いや、泣きそうどころか涙流してしまったじゃん･･･。




うちは両親との仲も特に普通だし
寺嶋さんってご両親とそんな関係だったんだって驚き。



でも、こんないいモノ見せられちゃったら必要以上に人恋しくなってしまう。




･･････ミツ、お腹すかせてるよね。




真っ先にミツの顔が浮かんでしまって苦笑いだ。



ミツなんて、いつかはいなくなるただの同居人なのに。



私にとってミツが少しずつ心のウエイトを締めてきている事に怖くなる。



変だよ。
恋愛感情もない年下男を恋しく思ってどうする。



･･･やっぱり弱ってんだ。
そういう事にしとこう。





「だけどAが藤ヶ谷くんと別れてたとはね。」


「･･････まあ、ね。」


「そろそろ結婚か、って年齢に振られるのキツイよね。わかってんのかな、藤ヶ谷くん。」


「わかんないよ、そんなの考える余裕もなく私が嫌だったのかな。」


「なにしたの、あんた！」


「なにもしてないよ･･･そもそもなんで振られたかわかんない。」







いや、だからきっと私より森さんの方を好きになった太輔の心変わり･･･とか、もう楓に言う気力もないわ。






そこで二人組の男の人に話しかけられる。



この後四人で飲み直そうってお誘い。



二階堂の友達、だよね。
結構かっこいいし、いい人達そう。



でも、なんだか乗り気にならない。
というより、私はミツに会いたくて、早くご飯を作ってあげたくて堪らなかった。



楓も彼氏がいるし、丁寧にお断りをしてお開きになった会場を後にした。








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