キミの襟足にキスがしたい

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「わかった！」





途端何か閃いたようにミツは手を叩く。





「どした？」


「俺、育ち盛りなんでしょ？」


「･･･だから？」


「夕食はAちゃんが作ってくれて一緒に食べてくれてたら食べる！それ以外は食べない！」






「･････････なにそれ。」


「そしたら俺もぐんぐん成長するし、Aちゃんの心配もしなくていいし一石二鳥！どう？」






なんの一石二鳥よ。
ミツの得しかないじゃん。




相変わらず目を輝かせて大層な提案をしたようにドヤ顔で
若干尻尾振ってるミツに、そろそろ根負けだ。







「･･････わかったよ、私もちゃんも食べる。」


「おおお！」


「これからはお酒とご飯、一緒に食べよう？」


「やっっったっ！オムライスと生姜焼きとハンバーグね！」







･･････また同じでいいわけ？



だよね、育ち盛りだもんね、わかったよ。



ミツもコンビニ弁当に飽きたんだろうし
さすがに同居して一週間夕食をとってない私を心配してたのも嘘じゃないだろうから。


上手く丸め込まれた気もするけどちょうど良かったよ。



変な痩せ方してるってほんとは気がついてたんだ。


お酒だけは飲んでるから体中変に浮腫んでて
それでもガリガリになってきてて。



失恋で醜くなってく自分の立ち直らせ方がわかんなかったの。






「･･･ミツがいてよかった。」





ふと、声に出した一人言。




はしゃいでるその背中には届いてないけどミツに感謝だ。



私、案外いい拾い物したのかもしれない。







「腹減ったよぉAちゃーん、」


「･･･今から買い出しに行けと？」


「一緒に行こ！？」


「えぇ、めんどくさい。もうビール飲んじゃったよー、」


「いいじゃん、Aちゃんとお出かけしたい！」







･･････ミツがなにも食べてないのは可愛そうか。






「時間ないし簡単な物しか作らないよ？」





重たい腰を上げてコートを着ると
ミツもいそいそと上着を持ちだした。





ひんやりとした外に一緒に出て
改めて隣を見てギョッとする。




「･･･なに？夜なのにサングラス？」



しかも、マスクにハット･･･
怪しすぎるんだけど。





「追われてんの。マジで。変装しとかなきゃなの。」


「･･･また言ってるそれ。」




いよいよミツの秘密が気になるけど
知らない方がいいのかも、と思う。



知ってしまったら、もう一緒にいられないような気がしてあえて興味のないふりをした。

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