キミの襟足にキスがしたい

２９ ミツside ページ29

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Aちゃんを見送った後玉の家に行ってみた。



チャイムを鳴らしても出なくて合鍵で入って待ってるとすぐに玉が帰ってきた。




開口一番
「ミツ、なんか太った？」と目を見開いて驚いてるし。





「･･････やっぱり？」




やばい。
Aちゃんのご飯が美味すぎて絶対食いすぎてる。




「ミツ、今の顔、すげーゆるゆるで気が抜けまくってんね。」


「･･･だって、なんもしてねーし。」


「毎日なにしてるわけ？」


「レンタル漫画借りて読み漁ってる。」


「･･･他には？」


「筋トレ、一応やってる。」


「他は？」


「ドラマ、･･･見て、酒飲んでる。」




Aちゃんとの時間が大事なんだよ。
とは玉に言えないけど。





「で？同居人の女の子とは、進展なし？」


「うん。別に。男として見られてないし。」




なんだろう、俺に対するあの無防備さは。
今ではお風呂上りはノーブラなの、俺ちゃんと気付いてんだけどよ？




「ミツはどうなのよ？女として見てないの？」


「ったりめーじゃん、女として見てたらとっくに手出してるって。」


「だよな。男女の友情とかが芽生えちゃってる感じ？」


「･･････わかんね、」




別に友達、って感じじゃないし。
でも俺はAちゃんといると落ち着くし楽しいんだよな。
なんなんだろ、この感情は。



ただ、俺はAちゃんから
見返りを求めない優しさをめちゃめちゃ貰ってると思う。




今まで一緒にいた女の子は
私だけを見て、とか
優しくしろとかキスしろとか？
はたまた抱いてくれとか？



そんな気分じゃなくても一方的に求められてうんざりだった。



ヤリたい時にヤラせてくれる女を傍に置いとく為だけにしてはめんどくさくてうざくてすぐに離れたくなって。




･･････Aちゃんに俺、なにしてあげられてるかな。



なんでこんな俺をずっと置いてくれんだって思いながらも
居心地が良すぎて、Aちゃんといたくて離れらんないんだ。






「でも、もう一ヶ月過ぎたぞ？そろっそろマジやばいぞ？」


「･･･あぁ、やばいかもな。」


「とりあえず連絡だけはしてよ？」


「･･････あぁ。」





ほんとに？！絶対だかんな？って真剣に言ってる玉の声がどこが上の空に聞こえるほど、俺、今の生活から抜け出したくない、と思ってしまう。

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