ジオラマに夜を咲かせて【完結】

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「な、そろそろ俺じゃなくて藤ヶ谷指名しろよ？」


「･･･生意気。こっちはお金払ってんのに口の聞き方気をつけてよ。」





親の金でな、って内心突っ込みながら
ゴホン、と咳払いしてみる。




「すみません、彩加さん。藤ヶ谷が好きなら藤ヶ谷指名したらいかがですか？」


「私に指図すんの？偉そうな事ばっか言ってたらパパに言いつけるよ？」


「あ？ずり、それはやめろ、」






すぐそれ。
21歳の彩加の父親はこの業界のお笑いの王と言われる大物芸能人の一人娘。



お嬢様で箱入り娘ってのがぴったりと当てはまる女だ。



･･･口はわりーけど。



ゴリゴリの藤ヶ谷のファンってとこから
"パパ"が俺達のやってる事を知って繋がって、
俺と今会ってるわけだけど。



パパも、よくこんな事娘にさせるよなって思ったけど、なんてことはない。
彩加とはこうして話し相手になるだけなんだから。



間違って他の客と同じように手出したりなんてしちゃったら
パパの逆鱗に触れて国立どころかグループの存続も危ういかも。





「藤ヶ谷が好きなら藤ヶ谷といた方が楽しいだろ？」


「･･･最初に言ったじゃん、好きすぎて無理だったって、」


「･･････可愛い事言いやがって。そんな乙女の所もあるんすね〜、」


「北山、マジ今日感じわるっ！」


「パパに言うなよ〜、」





好きでもない俺と時間を作りたがるのは
俺が藤ヶ谷と同じグループだから、少しでもその空気を纏いたいとか、そういう理由なのかなって勝手に思ったり。



何度も会ってるうちに
小娘の戯言を受け流して"客"扱い出来なくなってるけど、彩加とはこの関係で上手く行ってる･･･とこれも勝手に思ってる。





「本音で話せる友達なんて一人もいないの」･･･って。
こいつ、ぼそっと言った事があったんだ。



父親が有名人過ぎて寄ってくる奴なんて誰も信用出来ないのかもしんない。



彩加の寂しさが伝わってきたから
俺はその言葉を聞いた時から気を使うのはやめた。



だから、 本音で何でも言っちゃう俺といるのが本当は彩加にとっては心地いいんじゃないかって。


だからいつも指名してくんのかな？とか色々考えてみるけど、本当の所はどうかわかんない。

※→←彩加の場合

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