ジオラマに夜を咲かせて【完結】

エピローグ ページ29

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「じゃな、A、あとで、」


「うん、後でね。行ってらっしゃい、」



行ってきます、と二人の家を出て
ドラマの現場に向かう。



グループで国立へ、という夢は
あれから色々あってたち消え



そして、俺はまた新たな夢に向かって走ってる。



人生なにが起こるかわかんない。



あの時必至にやった売りの仕事は何だったんだって思うけど
おかげでかけがえのない彼女と出会えたし
お客もなんだかんだで悪い人はいなかったしいい経験(？)だったなって思う。




Aは俺の専属のスタイリストとしてついてもらってる。


Aの母親も無事退院して
今はまた元気に理容店で働けるようになったタイミングでまた東京に来てもらった。
つか、半ば強引に。



会いに行った日、結婚するって嘘をついたのはそうでもしないと自分の気持が俺に傾きそうで怖かったからだと言ってた。


でも結局ああして追いかけてきてくれて。
今がある。


遠恋とか向いてないし
Aはずっと遠慮気味だったから早く心の距離も縮めたかったっていうやつ？
で、即同棲。



ドラマ撮影の後、シングルのMVの衣装の打ち合わせ、のための「後で、」だ。



家でも仕事でも一緒。



昔の俺なら考えられなかったけど
ソロとして活動してる今は、Aの存在はとても心強かった。



誰よりも信頼してるAだから
俺は楽しく前向きにやっていけてる。




「な、そろそろ結婚する？」



一日の終わり、家に帰って俺の衣装サンプルをミシンをカタカタ鳴らしながら作ってくれてるAに思わず言ってしまった。



「うーん、仕事が楽しいから今じゃないかな、」




なんだそれ。



今じゃない、ってことはまたいつか、だな。



やっぱり仕事に夢中な彼女は
俺とよく似てるなって感じることが多いからまあ気長に待とう。




今はとにかくやりたいこと全力で。








いつか国立に立つ夢も、まだ諦めてはないかんな？




もちろん、その時も最愛のAを連れて。






ＦＩＮ

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