ジオラマに夜を咲かせて【完結】

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「名古屋でさぁ、びっくりする子に会ったんだけど！」



千賀の"名古屋"というワードだけで反応してしまう自分。


千賀は週一で地元のテレビ番組に出てるから
そのワードが出てくるのは自然なことなんだけど。



「間宮さんとばったり会ってさ。嬉しくなっちゃった。」


「間宮さん？え？スタイリストの？名古屋にいるの？」


「そうそう、ここ辞めて地元の名古屋でやってるって。」


「えー？そうなんだ。会いたいなー、間宮さん。」




まさかのAちゃんの話だ。



二階堂と千賀の会話に耳をそばだてて
スタイリストの仕事は辞めると言っていたAちゃんが、まだその仕事を頑張っていることが嬉しかった。



俺が何の気なしに続けてみたら？って言葉で頑張ってくれてるのかな、って考えるのは思い上がってるだろうか。



元気にしてんだな。



一瞬にして頭に浮かんだのは
スタイリストとして生き生きと仕事をしてる姿と



･･･ベットの中、汗ばんで火照った顔で俺を見上げる顔だった。






同時に思い出す顔かよ、


自分で自分に突っ込みながら髪の毛をくしゃっとかき乱す。




はぁー、



あれから一ヶ月



あの日のAちゃんとの時間が忘れられない。



「間宮さんにこの仕事他言しないように言ってくれたよね？」



マネージャーからそう言われて初めてそんな事言われてたなって思い出す始末。




「･･･間宮ちゃんはそんな事言わなくても大丈夫だよ。」



それは本当にそうなんだけど
バカ正直にそんな返事しちゃったもんだから
呆れられながら怒られた。そりゃそうだ。



そして、これは切実な話し。







あれ以来、"仕事"が出来ない。



いつものお客といつものようにホテルのベットの上にいるのに
まったく機能しなくなった。



こんなこと初めてで
体調が悪いとかなんとか言い訳をしてその場はやり過ごしたけど






「･･････ごめん、もう、できない、」




マネージャーに謝って
メンバーにも頭を下げた。




あと少しでノルマは達成だったから
六人でやるよ、とみんな口々に言ってくれたけど
最後の最後で役に立てなくなったのが本当に申し訳なくて
でも、みんな原因はなにか？なんて訊ねる奴はいなくて
それも申し訳なさに拍車をかけた。



･･･だからって明確な理由なんて俺にもわかんないんだけど。



わかってるのは
間宮ちゃんと会ってから、他の女の人と無理になったってことだけ。

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