片想いの彼〜One_sided love〜

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「･･･こら。だから当たってるっつの。」


「だって好きなんだもん。」


「･･･我慢してるって言ってんだろ？」


「いいの。我慢なんてしなくて。」




こんなに私の事思ってくれてるんだったらこのまましちゃいたいって思っちゃうもん。



「･･･ダメ。こんなとこまで来てすぐしちゃってたら家にいんのと変わんないじゃん、」




だいぶ気弱な返事だけどヒロミツなりにこのお出かけを楽しもうってしてくれてるんだって更に嬉しくなる。





「ここ広い庭あんだって。散歩しよ？」って途端ガバって起き上がってる。





ほんとに夢みたい。



さすがに他にもお客さんいるからキャップとマスクしてるんだけど･･･わかんないのかな？



こんな平日の高級旅館、お年寄りばっかだし気が緩んじゃうよ。



そのままで部屋を出ようとしたら呼び止められて






「Aも顔売れて来てんだから自覚持てって。」




そう言ったヒロミツはキャップと伊達メガネを差し出してきた。






「ぷっ、ブカブカっ。」





笑われてるよ。逆に怪しくない？





「ヒロミツは？被らなくていいの？」





そしたらもう1個カバンから取り出してるし。
何個持ってきてんのよ？



２人で広いお庭を手を繋いで歩く。



なんかいいな。



最近はほんとに仕事ばっかりでこんなゆっくりする時間なんてなかった。



休みの日だって仕事終わってからでさえレッスンやジムに時間費やしてたし。



自分でも気付かないうちに結構疲れ溜まってたかも。



ヒロミツの顔見たらヒロミツも優しい顔してて。





「こういう時間も必要だよな。」ってポツリ。




２人でなんにも喋らないでボーってしてる。




「なんか老夫婦みたいだね。」


「なんだよそれ。
ってかお互いちょっと働き過ぎじゃね？」





そんな事をポツポツと話しながら。





「今さ、コンサート中なんだ。」




うん。知ってるよ？その為にすっごい頑張ってるんだよね？




「それにドラマもバラエティもあってさ。
毎日バタバタなの。･･･そんな状態で彼女にしちゃってごめん。」


「･･･私ヒロミツの重荷になってる？」


「重荷って程会ってねえだろ？受け止めらんねえのにオレのにしたかったんだよ。」





勝手だよなって呟いたヒロミツの顔はマスクで読み取る事は難しかったけど、




･･･きっと悲しげな顔してる。




私こんな顔させる為に彼女にしてもらったんじゃないよ。

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