片想いの彼〜One_sided love〜

15 北山side ページ15

いつもオレの前ではイケイケで積極的で明るいAちゃんが泣いてる･･･



あんなにガンガン来てたのも実は結構無理して頑張ってたのかな？って。



泣き顔を見せないように向こう向いちゃったけど



･･･泣き顔まで綺麗なんだな。



内心だいぶうろたえてる。



こんなに泣かせるくらいなら誘いに乗んなきゃ良かったじゃん、その気もない癖に。


でもこの涙を見てオレの心は少しAちゃんに傾いてしまってる。


こんなに自分をさらけ出してオレに思いを伝えてくるAちゃんの事、冷たくなんて出来るわけない。


無意識に向こう向いてるAちゃんを後ろから抱きしめてた。






「･･･北山さん？」


「･･･友達のハグだよ。」




我ながらバカな事してるってわかってるけど、こうでもしないとAちゃんが消えちゃいそうだったんだ。




「明日も撮影あんだろ？
そんな泣いてちゃ可愛い顔が台無しだろ？」


「わかってます！･･･あと３０秒で止めます。」




ってほんとにすぐ泣き止んだ。


一旦席立って戻って来たAちゃんは泣いた後で目が潤んで最高に可愛かったんだけど


それ以外は全部元通りのテンションになってる。




「ごめんなさいっ。泣くなんてズルイですよね？北山さんは最初から私とは付き合わないって言ってるのに、変な期待しちゃったんですよね。」




ふふって笑いながらビール飲み干してる。





「でも、私諦めませんからね？友達のハグまたして下さいね？」




小悪魔風に見つめてきて
頑張ってオレにアピールしてくるAちゃんに




「･･･もうしねえよ。」って、弱々しく言う事しか出来なかった。






「ビールもう一杯頼みませんか？」




気弱に返事したオレの事は見ない振りして元気よく尋ねられた。




「うん。飲もっか。」




２人で２杯目に口を付ける。





「北山さんと２人でビール飲むなんて幸せ過ぎますっ。」



･･･無理して笑ってんだよな？



まだ潤んでるAちゃんの瞳の奥が気になってしょうがない。



こんな顔させるならマジでもう会わない方がいいのかも。




「嫌ですよ？北山さん。」



え？



「まだまだ私とお友達でいてくださいね？」




オレの方が顔に出てるか。
苦笑いしかない。



「明日撮影なのにそんな飲んでいいの？」




気持ち切り替えて話しかける。




「本当はダメですけど、北山さんと同じ物で乾杯したかったんです。」


･･･そんな可愛い事言う？

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