猟奇的な同期 ３ 【完結】

１０９ 北山side ページ12

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「どういう意味？」


「そういう意味。」





急に仕事の顔から以前付き合ってた彼女の顔を見せてくるから時が戻ったような感覚になった。




「･･･俺、おまえにそう言われて振られたんだけど。」


「そうね。でも振られたのは私だよ。」


「･･･なに、それ、」


「宏光、私の事見てないんだもん。好きな人が出来たって言って、どんな反応するか確かめたの。引き止めて欲しかったけど、あっさりさよならしてきたのはそっちでしょ？」


「なっ･･･んなもん、そう言われたら別れるしかねーだろ？？」


「ほんとに好きなら、なんとでも出来たんじゃない？結局、宏光は私の事飽きてきてたのよ。」


「･･･嘘だろ？飽きてなんかなかったって。俺、マジで凹んだんだぞ？」


「凹むほど、私の事好きでいてくれたんだ？」





ふざけたような言葉だけど、朱音の顔は大真面目だ。




「そ、そうだよっ。」




好きだったよ。
仕事も出来て美人で聡明で。



だけど、俺といる時には子供みたいに甘えてくれて
でも時には俺も子供みたいに甘えてさ？



すげーいい関係だって。
思ってたのは･･････俺だけだったって事？






「宏光はさ？結局、好きな女一人大事に出来ないのよ。付き合ったばっかの時は頻繁に会ってたのに、三ヶ月、半年、って経つ度に全然会わなくなってさ？自分優先、友達優先、仕事優先だし。･･･って、仕事は優先でいいんだけど。」





･･･確かに、あの頃仕事が立て込んでて土日なんてない生活してた。


だけど、たまの休みに友達と飲みに行ったりは･･･


そりゃするよ。彼女とはいつでも会えるけど
友達はそんなに、都合合わねーもん。




ってのが、朱音をほっといてたって、
不安にさせてたって事だったのか？






「･･･気付かなかった。マジかよ、･･･それならそれで言ってくれたら俺達、あのまま付き合って、」





今更だ。
何言ってんだ、俺は。





プライドが高い朱音が寂しい、なんて口にするなんて想像も付かないし、そんな事言わせる時点で俺達は終わってたのかもしれない。






「ちょっとは私の事好きでいてくれたんだね。」





寂しそうな朱音の顔。



こいつのこんな顔、彼女だった時にも見た覚えがない。



もしかしたら本当にめちゃくちゃ無理させてたのかもしれない、そう思った。






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