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「体売ってるって噂、ほんとですか?」
なにそれ?
おもしろい冗談だね
そんな風に笑って否定して?
淡い期待をして顔を上げる。
でも北山さんは笑うどころか驚いた顔をして私を見てる。
短い沈黙の後
北山さんはふっと笑って私の耳元に唇を寄せた。
「高いよ?俺。」
そう小さく呟く低音の声で鳥肌が立った。
・・・・・・って、え?
やっぱり、本当、って事、なんだよね?
気が付けば楽屋に一人取り残されて
しばらく放心してた。
それが、北山さんと会った最後の日
に、なるはずたった。
・
仕事を辞めて名古屋へ帰る荷造りをする。
先輩や後輩に送別会をしてもらって。
森川とも飲みに行った。
皆寂しい、元気でね、と言ってくれたけど
森川だけは本気で言ってくれたから私も泣きそうになった。
私、もう東京に住む事はないんだな。
服や食器をダンボールに黙々と入れていってると
ふと無性に寂しくて悲しくなってきた。
目の前のミシンをただ、見つめてしまう。
私、ここへ来て8年、何してた?
がむしゃらに衣装の勉強をして職に就けて
そこからもただ、ひたすら仕事の事ばかり考えて過ごしてきたよね?
それは、良かったんだろうけど
いざ、何もかも投げ捨てて地元に帰るとなると
恋の一つでもしとけば良かった、と思う。
そう、私は経験がない。
興味が無かった。そういう事に。
そのまま歳を重ねて、気付けば恋愛的なものとは程遠い人生になってて。
だから仮に北山さんを"買える"事が出来るとしてもそもそもハードルが高すぎる。
でも・・・・・・
おもむろにそこに置いてある貯金通帳を手に取って開いてみる。
「・・・・・・500万、あんじゃん、」
あるんだよ。8年掛けて貯めたお金が。
いっそ、400万、とかならほらね、やっぱ
り無理無理って諦められたかもしれない。
「なんであるのよぉーー、」
私は今、北山さんを買える資格がある。
それだけでドキドキと胸が高鳴って仕方なくて。
いざ、買います!って言った所で相手が私ならお断り、とかあるかもしんないのに!
・・・・・・・・・でも、
最初で最後、夢、見てみたい・・・。
・
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mora(プロフ) - 通帳確認してみようかしら。もしくは、2年くらい飲まず食わずならいける?笑 (2020年9月13日 14時) (レス) id: daf44fdab0 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - moraさん» そうなのよ、500万だよ?頑張ったらいける(?)貯めよう(笑) (2020年9月13日 13時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - nayuさん» お得感出てきたよね?!(笑)うっかり払ってしまいそうになるー、ないけど(笑) (2020年9月13日 13時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - あやかさん» どの続編気になる?!またこっそり教えて(笑) (2020年9月13日 13時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - さっこさん» いや、この話だいぶ長編案件なのよ。。そこまで書くと短編じゃ書ききれないなーって。だいぶ奥深い闇の長編になるでしょ?(笑)私も、宝くじしかねーなって思ったよ(笑) (2020年9月13日 13時) (レス) id: a682c15f64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haru | 作成日時:2020年7月9日 21時