君のその手に ーspinoff ー 桐谷麗華の恋。【完結】

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そんな私のエゴだらけの関係を続けた結果
宏光は出会った頃よりも遥かに憂いを帯びた
どこか儚げな雰囲気を持つ男に成長してしまった。



･･･全ては私のせい？と思うのは思い上がりか。



それでも、仕事も出来て、瞳は凛々しいのに
見ているだけですぐに消えてしまうんじゃないか、と心配になるような儚げな宏光を垣間みる度、これは私の罪だと思った。



でもタチが悪い事に
私はその儚げな宏光に見つめられるとゾクゾクした。




私が作り上げた罪の産物。








＿＿＿＿＿＿宏光をダメにしてしまうかもしれない






そう思った時には既に遅かったのかもしれない。


今更、この関係を自ら断ち切ることなんて私には出来なかった。



あの目で見つめられて
あの体で求められて
限られた時間で甘い声、言葉、全ての愛情を私に降り注ぐ宏光を手放すなんて。



一度情熱的に愛される事を味わってしまって
それを自分から止めるなんて到底無理だ。



私が宏光にここまで執着してしまうのは
宏光が私が望む快感を心地よく与えてくれるからだと思ってた。



それは眼差しだったり
いつも私を褒めてくれる言葉だったり
もちろん、行為の時の私の体を知り尽くしてる彼の手や指先だったり･･･、



彼が私を想う程
私は彼にのめり込んでる訳じゃない。



実際、夫との時間を常に優先したしそれは当たり前の事だと思っていたし。




想われている、それも快感。
私が彼に溺れてる訳では無い。
だからもし宏光から別れを切り出された時は
また私は夫だけに戻ろう



そんな狡い事ばかり考えていた。




宏光から、この女とは無理だ、と愛想尽かされる時
それが私達の終わりだ。



ただ、そうならないように
宏光を縛り付けるべく、女としての磨きをかける事を怠らなかったけど。







でも、それが大きな誤算だったと痛感したのは
伊藤さん、通称"イト"と社員から親しまれている女の子が私の部署に異動して来た時だった。







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