過失に恋して故意になる

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「俺、おまえにワガママばっかだな。」


「そ、うだよ。親友だからってね、限度あるんだからね？」


「でもカミングアウトして気が楽になってさ。言いたいこと全部ぶつけちゃったわ。」





＿＿＿＿でも、俺の親友がAで良かった。




優しい顔で見つめながら
そんな事言うミツは本当に罪作りだ。




「･･･それからこれだけは覚えといて？
Aがこの先誰を好きになっても、俺は応援するからな？」




そして、またさらっと傷付く事を最後言い残して
教授が入ってきた講義室に戻った。







ミツの考えはわかった。
だからミツの気持ちを尊重しないと。





藤ヶ谷くんになんて言おう？



バイトで一緒になった時の休憩室。



いつ遊べる？って聞いてくる藤ヶ谷くんを前に
少しだけ言葉を失った。




「Aちゃん？聞いてる？」


「あ、うん、ごめん、それがさ･･･ミツ、忙しいみたいで最近遊んでないんだ。だから、ごめんね？」


「･･･そうなんだ。じゃあ、二人でどっか行かない？」


「えっ？私？･･･いいけど、」


「そ？行きたい所とか考えてて？またメールするし。」





そう言って店に出ようとする藤ヶ谷くんにちょっと待って、と声をかける。





「あの、さ、彼女、大丈夫なの？女の子と二人で出かけるとか、」


「あぁ。うん。別れたから。気にしないで？」




まるでおはよう、と挨拶でもするかのような軽い報告をして藤ヶ谷くんは先に行ってしまった。



そっか。
この前言ってたけどほんとにあっさり、なんだな。


やっぱり大人の付き合いってわかんない。
そう思いながら私も仕事に入った。







あれ？
でも、私、藤ヶ谷くんと、二人？



なんか変じゃない？
これってどういう状況なわけ？



友達として、っていうことだよね。
でも、･･･ミツに言い難いな。



ミツは私と藤ヶ谷くんが二人で会う事をどう思うんだろう。



でも、あれからミツと藤ヶ谷くんの事で話すことはなくなったから。




お互い触れないようにしてる。
ミツはきっとあの日から藤ヶ谷くんへの気持ちに蓋をしたんだ。



だからわざわざ言わない方がいいよね？



友達、と会うだけ。
でもなんだかよくわからなくてリカを誘ってみると嫌な顔して拒否された。




「私、藤ヶ谷くんに嫌われたくないんだけど。」



だって。
意味わかんないよ。



だから誘われるまんま、日程を合わせて藤ヶ谷くんと映画に行く事になった。

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