帰ってきた「君のその手に」【完結】

４９ 二階堂side ページ49

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「ではではっ、イトちゃん！！長い間、お勤めお疲れ様でしたぁーーー！」




もうね、やけっぱち。
寂しくて仕方ないけど元気よくイトちゃんを送り出すのが俺の仕事。




カンパーイ！ってビールジョッキを合わせる
ガヤさん、相沢、ミツに華。



･･･って。



「イトさん？ウーロン茶･･･、」



そりゃ華だって気になるよ。
つか俺、怖くて聞けなかった。



えへへって照れてるイトちゃんの横には
めっちゃくちゃ得意気に鼻の穴を膨らませてるミツ。




「「えっ？まさか？」」



声をハモらせるガヤ日奈。




「まあなぁ〜、ここに俺達の愛の結晶がいまーすっ、」ってイトちゃんのお腹をさすってるミツ。




愛の結晶って。寒っ、




「えー？！？！おめでとうございますっ、イトさんっ！」


「おめでとうございます。伊藤さんっ。」






女共はキャッキャ言ってるわ。



めでたいんだろう、わかるよ。
でも、面白くないのは俺と･･････



隣りで、表情一つ変えないガヤさんだ。




「ガヤさん、全然嬉しそうな顔してねーじゃん。」


「おまえもな。」




誰にも聞かれないようにコソッと耳打ち。




そこへ俺達の間にずいっと図々しく体を割って入ってきたミツは俺とガヤさんの肩に腕を回してきた。




「つー事で。もうAは俺のもんだ。」


「は？バカじゃないの？結婚してんだからそりゃそーでしょーよ！」




なんだ。わかんねーけどイラつく。



「でも、おまえらさ、ちょーっとはまだなんかあるかもしんねーな、とか狙ってたっしょ？Aを！あわよくば！って！！」


「んなわけ、」



あるか！！って言いたいけど
絶対そんな事あるわけねーけど
俺は、華、命！だしあわよくば、なんて考えちゃダメだけど



・・・くっそー、なんかしんないけど無性に腹立つ。




「人の女に手出す程苦労してねーわ、俺は。」



二階堂は知んないけど、って。
そこ、一気に突き放したなっ？



「まぁまぁ、負け惜しみもたいがいにしろってー。」



今日のミツは今まで見た事ないくらい頬が緩みっぱなしだ。




「バーカ。おまえだけが幸せだと思うなよ？」


「えっ？」
「ひぇ？」



ずっと三人でコソコソやってたのに、急に咳払いをして皆を見渡したガヤさん。





「俺も、日奈子と結婚する事にした。」





･･･マジか。




んだよ、なんか寂しーじゃねーかっ。

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