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ちゃぷん、とお湯に浸かると髪の毛をかきあげた宏光が私においで、と腕を広げる。
まだ慣れなくて少しだけ躊躇したけどその胸の中に背中を預けた。
「さっきの不完全燃焼のオレが行き場を失ってまーす。」
「あ、そういやそうだったね。っていうか、宏光いっつもキスだけでそうなんじゃんっ、いちいち構ってられなーい。」
「あっ?Aがキスだけで感じてるのが悪いんだろっ?おまえのせいじゃんっ。」
うりゃって宏光の方へ体を向かされてチュッと落としてくるキスはちょっとふざけた感じで
いつもの私達に戻れたって嬉しくなる。
「・・・でも今日はやめとこ。なんか、体心配。」
「大丈夫だよ?私、ほんとに宏光といると過呼吸なんてどっかいっちゃうんだよ。」
私にとっての安定剤だから、宏光がいれば私は無敵なんだ。
でも宏光はどこか上の空だ。
パシャ・・・、と音を立てて今度は真正面から抱き締められた。
「な、・・・・・仕事、辞めない?」
肩越しで聞こえた声は
耳を疑うような言葉だった。
「え・・・?」
「もう、頑張りすぎなくていいんだよ。家事も仕事も。俺が稼ぐし、Aは家で好きな事してろよ。」
「っ・・・、」
好きな事、ってなに?
私、結婚する時、仕事だけは続けたいって言ったよね?
私が、家事と両立出来てないから?
こんな事言わせちゃうなんて情けなくて、勝手に涙が出てくる。
「・・・泣くなよ、ごめん、Aの気持ちはわかるんだけどさ。」
「っ、だってっ、私から仕事とったら何が残るの?私、仕事好きなんだよっ。」
「知ってるよ。でも何が残るの、なんて言うな。結婚してさ、ずっと頑張ってきたじゃん。ちょっとひと休憩してもいいんじゃねーかって。」
「ごめん、宏光、私、もっとちゃんと家事もやるから、そんな事言わないで?」
A支社で挨拶回りも終わって
久しぶりの取り引き先の人達とも良好な関係をもう一度構築して頑張ろうって思ってた所だったのに。
「・・・落ち着いて?責めてねーって。家事だって今まで通りで俺は充分だよ。・・・ただ、そんなんなっちまうって事はやっぱり負担になってんだって。俺の気持ちもわかって?」
っ・・・でもっ、私の気持ちは・・・?
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haru070917(プロフ) - ありがとうございます。でも北山夫婦のこれからも知りたいかなまた書いて下さい (2020年1月20日 21時) (レス) id: 6044a23124 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - あやかさん» 本編読み終えて下さったんですね!長い時間お疲れ様でした^^;ありがたいです。続編というか完全に桐谷部長のお話になるのでまた、趣向が変わるかもです。が良ければお付き合い下さいーっ♪ (2019年12月21日 21時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
あやか(プロフ) - 完結お疲れ様でした!遅ればせながら、本編を読み終え、自分の気持ちの中でとても上がっている作品なので、また続編を書いて頂けるなんて、とても嬉しいです(^^)楽しみにしています! (2019年12月21日 18時) (レス) id: d1d73bb006 (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - りーちゃんさん» 素敵と言ってもらえてほっとしました。読み応えあるものを、と思っていたので嬉しいです(T_T)こちらこそ、ずっとお付き合い下さってありがとうございました!!(^^) (2019年12月21日 13時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
Haru(プロフ) - nanacoさん» スッキリできてたー?いつもラストは難しいなって思うよ^^;nanacoちゃんもずっと読んでくれてありがとー!スピンオフもよろしくね♪ (2019年12月21日 13時) (レス) id: 476aea9d9a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Haru | 作成日時:2019年11月23日 20時